2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (70344330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 寿史 名古屋大学, 生物機能開発研究センター, 助教 (30359757)
宇治 督 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所, 研究員 (40372049)
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Keywords | 異体類 / 左右非対称性 / 発生 / 変態 / ノダル経路 / ヒラメ / 増養殖 / 形態異常 |
Research Abstract |
前年度までに、異体類の眼球移動は、変態期に前脳がヒラメでは右に、カレイ類では左に傾いて非対称性を形成することから始まることを報告し。神経前駆細胞の非対称な増殖域を探ることにより、このような脳の非対称性形成がどこから始まるのかを検証した。その結果、魚類では視交叉が完全交叉であるため、視交叉直上には体の非対称性を形成しないトラフグ仔魚でも非対称な細胞増殖域が存在すること、ヒラメとホシガレイではこの領域を利用するようにして間脳が非対称性を形成し、さらに前脳が傾くことを明らかにした。視交叉は、ヒラメでは左眼由来の視神経束が右眼由来の視神経束の前を、カレイ類では右眼由来の視神経束が前を通るように固定されているため、ヒラメとカレイ類では最初に非対称性が左右逆に発生することが分かった。左手綱核で発現するpitx2が非対称性の方向を一定に調整する役割を果たすと、このトポロジーに従ってヒラメとカレイの脳は左右逆方向に非対称性を形成し、ヒラメは右眼を移動し、カレイは左眼を移動すると考之られた。ホシガレイはpitx2の発現が極女て弱く、かつ発現する個体の比率が50%以下であるため、脳の非対称性の方向が定まらずに眼位異常が発生すると考えられた。ヒラメとホシガレイ仔魚を変態前から変態完了まで全日照明で飼育したところ、15-30%の稚魚で有眼側の白化が起こり、これらの個体では成体型色素胞が完全に欠損することが分かった。全日照明区でも成体型色素胞の前駆細胞は正常に分化するこヒから、色素細胞の増殖あるいは最終的な成熟過程が全日照明により影響を受ける可能性が考えられた。松果体のメラトニン合成系とセロトニンーメラノサイト刺激ホルモン(MSH)系の酵素の発現を調べた結果、セロトニン合成が全日照明により活性化され、視床下部でのMSH発現が抑制されていることが示された。
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Research Products
(15 results)