2007 Fiscal Year Annual Research Report
海洋温暖化に伴うクロマグロの漁場形成変動機構の解明:摂餌海域は北偏しているか
Project/Area Number |
19380114
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河邊 玲 Nagasaki University, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 准教授 (80380830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 英昭 長崎大学, 水産学部, 教授 (60114584)
石坂 丞二 長崎大学, 水産学部, 教授 (40304969)
北川 貴士 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (50431804)
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Keywords | クロマグロ未成魚 / 鉛直遊泳 / シイラ / データロガー / 漁場形成 / 水温構造 |
Research Abstract |
クロマグロ未成魚と熱帯性捕食者(シイラ成魚)の鉛直遊泳行動を自動切り離し一回収型の電子標識により、周年に亘り記録することで、熱帯捕食者がクロマグロ未成魚の分布機構に及ぼす影響について検討を開始した。 本年度の成果は下記の通りである。 1)先行研究と同様にクロマグロ未成魚の鉛直遊泳様式は主に表層混合層内に限定され、水温躍層が発達する夏期になると体温に影響が出ないような短時間の潜行を繰り返していた。 2)一方、対馬暖流系のシイラ回遊群は初夏から晩秋にかけて東シナ海北部海域に来遊する。水温躍層がそれほど発達しておらず表層水温が20℃以下の時期にはシイラの滞在深度はほとんど表層に限定されていたが、水温躍層が発達する高水温期の9-10月には表層混合層内を積極的に鉛直移動していたが、クロマグロ未成魚のように水温躍層下に潜行することは観察されなかった。 3)クロマグロ未成魚の表層での滞在時間はシイラが来遊する5月下旬以降に激減したが、この時期は水温躍層が発達し始めるタイミングとも一致していた。対馬海峡・五島西海域ではクロマグロ未成魚は「曳縄」や「浮延縄」によって漁獲されており、5月下旬以降にシイラが出現して表層を優先することにより多数のシイラが混獲される要因となることが示唆される。また、クロマグロの漁期は以前に比べて短縮傾向にあることから、熱帯性の捕食者に早期の来遊が同種の漁場形成に影響しているのかもしれない。
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Research Products
(5 results)