2008 Fiscal Year Annual Research Report
海洋温暖化に伴うクロマグロの漁場形成変動機構の解明:摂餌海域は北偏しているか?
Project/Area Number |
19380114
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河邊 玲 Nagasaki University, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 准教授 (80380830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 貴士 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (50431804)
中田 英昭 長崎大学, 水産学部, 教授 (60114584)
石坂 丞二 長崎大学, 水産学部, 教授 (40304969)
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Keywords | クロマグロ未成魚 / 鉛直遊泳 / シイラ / データロガー / 漁場形成 / 水温構造 |
Research Abstract |
クロマグロ未成魚と熱帯性捕食魚類(シイラ成魚)の鉛直遊泳行動を自動切り離し-回収型の記録型標識を用いて、シイラ成魚の出現が、クロマグロ未成魚の分布機構に及ぼす影響について引き続き調査した。さらに、シイラの餌生物について、調査を開始した。 本年度の成果は下記の通りである。 1)東シナ海北部海域に出現するクロマグロ未成魚は、初夏に温度成層が発達し始めると水温躍層直上に主に滞在して躍層下に短時間の潜行を繰り返した。一方、クロマグロと同時期に記録されたシイラの滞在深度は表層に限定されていた。クロマグロはシイラが海域に出現すると表層での餌探索をほとんどせずに、シイラが表層のニッチを占める可能性が示唆された。餌生物調査の結果から、この時期のシイラはカタクチイワシを専食していた。またこの海域のクロマグロは頭足類が主要な餌生物で知られており、餌種の違いが両種の滞在深度に影響しているかもしれない。 2)東シナ海北部海域では、クロマグロは「曳縄」や「浮延縄」の表層漁具を用いて漁獲されている。シイラとクロマグロが海域に同時的に出現する場合には、表層漁具ではシイラの大量の混獲が予測される。シイラは水温20℃以上の海域に出現できることから、海洋温暖化の進行は、海域へのシイラの来遊時期の早期化を進めることになり、クロマグロ漁の漁期の短縮化を進めるかもしれない。 3)海域でのクロマグロ未成魚の越冬様式を調査するために、本年度の冬季に42個体のクロマグロにアーカイバルタグ(深度水温記録計)を取り付けて放流した。来年度中に数個体が回収される見込みであるので、近年の海洋温暖化の進行が分布・滞在機構に及ぼす影響について精査する。
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Research Products
(6 results)