2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本版米燃料化政策と地域実証事業の統合的研究-水田を油田にする制度構築に向けて-
Project/Area Number |
19380129
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢部 光保 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (20356299)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 幸嗣 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (20274524)
狩野 秀之 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00423509)
|
Keywords | 環境支払い / バイオ燃料 / 選択実験 / 多収量米 / 過剰農産物 / ガソリン税 / 原油価格 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
本研究では、世界の主要なバイオエタノール政策の調査と我が国における米からのバイオエタノール生産・普及の可能性の検討を主要な研究課題とする。 農業経営の現場では、バイオエタノール米の生産にシフトするか、あるいはそれを推進する有効な政策は何であるかという課題に答えるため、農業経営の線形モデルを利用して政策シミュレーション分析を行い、定量的な検証を試みた。飼料イネのデータを使用し、収量、助成金および必要労働力の水準を変化させて経営内におけるバイオエタノール原料米の作付面積の変化を推計した。その結果、バイオエタノール原料米は、その買取原価が低く設定されるため、通常の転作助成金を上回る生産助成金が交付されて初めて作付けられること、また、そのような条件が整ってこそ単収増大技術と省略化技術の開発支援政策が効果を発揮することが明らかになった。 農産物の構造的過剰に悩むフランスは、農業界が穀物や油糧種子の新たな販路としてバイオ燃料の積極的推進に取り組んだ。1992年より耕地作物の直接支払の給付要件として設定された休耕義務に対して、耕作対象面積に非食用の作物作付け認められるようになり、これを機に菜種を中心としたバイオ燃料原料作物の生産が始まった。また、1997年からバイオ燃料に対して減税措置を講じ、その供給コストの大半を補填した。その後、穀物価格の高騰により2007年には義務的休耕は、燃料作物に対する助成制度とともに廃止が決まった。しかし、エタノール混合率はエネルギー換算でEUの水準を上回る独自の目標値を設定し、2005年にはバイオ燃料の混合率未達成の販売者には環境税が課され、E85は2007年1月から一般に販売できる体制が整えられるなど、バイオ燃料推進の姿勢は強力であり、ビートや穀物の共同組合グループを中心に巨額の投資による大規模プラントの建設も進んでいる。
|
Research Products
(11 results)