2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本とアジア諸国における参加型灘漑管理実現の共通原理
Project/Area Number |
19380133
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 政良 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70021722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 泰一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (10133589)
石井 敦 三重大学, 生物資源研究科, 准教授 (90222926)
塩沢 昌 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80134154)
吉田 貢士 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (20420226)
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Keywords | 水資源 / 国際協力 / 農業工学 / 農業経済学 / 参加型水管理 |
Research Abstract |
韓国における水管理体制の現状について、忠南大学および韓国農村公社(KRC)での聞き取りを中心に情報収集し、KRCが管理する大中規模の灌漑施設と伝統的灌漑管理を地元組織が担う小規模灌漑施設の整理を行い、それぞれのタイプの灌漑施設と管理システムの概要を把握した(東谷ダム、里井、大洞ダム、塔亭ダム地区)。また、後者の代表例として論山地域にある塔亭(Tapjong)貯水池灌漑地区を研究対象地として選び、農業用排水システムを詳細に把握するとともに、流量データを入手した。 韓国では、1908年以来の国家灌漑システムの流れの中で、2000年にはKARICO,2005年にはKRCに組織が移転して、農民灌漑組織(農地改良組合)と国家組織の統合がなされ、用水管理システムへの公的関与が強まっている。 中国雲南地域においては、雲南大学および県政府レベル以下の行政組織からの聞き取り調査をベースに検討を行った。農民参加型水管理は、中国の市場経済化と水資源需給の逼迫の中で、基本政策ではあるものの、現実にはむしろ後退している(政治的要講から、農業に対する農民負担の軽減)とういう現状を認識する必要がある。調査を行った青龍貯水池エリア(長江の最上流域)においては、年降水量は750mm程度で、主に水田に対して4月一7月まで給水を行うと、貯水池は通常満水しない。末端水路建設にっいては農民が労働力を提供した。水路の維持活動は毎年4月に村長の指示の下、村民が行う。ある村では、一回の活動に40人(一人/家族)が役務している。区間分担等は歴史的に決まっている。このように、末端水路の維持においては、農民自身の水管理活動への参加が定着している。このような貢献が、用水配分という水管理本体の意志決定にどのような影響をもたらしているのかが、今後の検討課題である。 日本については、江戸期からの伝統的灌漑システムである岡堰について総代会システムを調査した。
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