2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本とアジア諸国における参加型灌漑管理実現の共通原理
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19380133
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 政良 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70021722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 泰一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (10133589)
石井 敦 三重大学, 生物資源研究科, 准教授 (90222926)
塩沢 昌 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80134154)
吉田 貢士 茨城大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (20420226)
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Keywords | 水資源 / 国際協力 / 農業工学 / 農業経済学 / 参加型水管理 |
Research Abstract |
今年度は、韓国における水管理システムの代表例として、昨年度選んだ韓国の水稲生産の代表的地域の一つである論山市塔亭(Tapjong)貯水池灌漑地区を研究対象地として、農業用排水システムを詳細に把握するとともに、水管理と水収支の現地観測を行った。この過程で、韓国の水田用水管理の基本的な性格が日本とは大きく異なり、貯水池灌概の場合間断灌漑を主とすることが認識された。韓国では、1980年代以来の国家による灌漑システム関与強化の流れの中で、2000年にはKARICO,2005年には韓国農村公社(KRC)に組織が移転して、管農民灌漑組織(農地改良組合)と国家組織の統合がなされ、用水管理システムへの公的関与が強まっている。今年度さらに、韓国農村公社は韓国農漁村公社に名称を変更、組織換えを行った。その中で、末端農民からの情報がKRCに伝わるシステムの実態分析、そのシステムの将来における安定性に注目して調査資料収集を行った。 タイにおいては、北部チェンライにある伝統的ムアンファイ組織のうち、河川の一支流(MaeLao)の最下流に位置し、乾期の利用可能水量が制約をうけているものを選び、水量不足状態においては水管理システムをどのように構成するのかを調査、検討した。その結果、上流部の取水上有利な条件を持っているグループは、基本的に自分の優先権を主張せず、乾期の灌漑面積を隔年で、上流部と下流部に割り振ることによって、平等性を受け入れている。費用負担等を含めた総合的な検討、行政組織のサポート内容、MaeLaoの上流部におけるムアンファイの管理状況等が今後の検討課題である。 日本については、利根川水系小貝川の福岡堰について総代会システム、末端水路維持活動を調査し、末端のいわゆる「部落」(江戸期に形成された村)の水管理における役割、機能について明らかにした。
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Research Products
(4 results)