2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 敏彦 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70343952)
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Keywords | 飼料作物育種 / 遺伝子導入 / 低温耐性 / フルクタン / CBF遺伝子 / 組織培養技術 |
Research Abstract |
低温耐性に関連する複数のフルクタン合成酵素遺伝子やCBF遺伝子が、寒地型イネ科牧草から単離・同定されているが、遺伝子発現様式の異なる種々のタイプが存在することが明らかになっている。そこで、本研究グループがこれまでに単離したこれら遺伝子をフルクタン合成能力がないシバ(Zoysia japonica)のへ導入し、得られる形質転換植物体の解析から、これら遺伝子の代謝ネットワーク等における機能を明らかにする。また、シバは低温耐性がないため、導入された遺伝子により低温耐性が向上することが期待される。 本年度得られた研究成果は、第一に、昨年度からの継続試験から、シバにおける迅速かつ効率的な組織培養技術を確立した。完熟胚を外植片に用い、5mg/L2,4-Dと0.2mg/Lベンジルアミノプリン(BA)を含むMS培地でカルスを誘導し、1mg/Lチジアズロン(TDZ)を含む培地でシュートを誘導した後、1mg/L BAの培地に移し替えることにより、植物体が容易に再生され、カルス誘導から植物体再生までにわずか18週間を要するのみで、既報培養法より時間が短縮され、実験の効率化が可能になった。第二に、エンブリオジェニックカルスを用いてアグロバクテリウムを感染させる諸条件を前年度に引き続き検討し、遺伝子導入効率を改良するとともに、完熟種子から切り出した胚を用いてアグロバクテリウムを直接感染させる方法を検討した。胚の直接感染法は効率的な遺伝子導入手法であり、高頻度で導入遺伝子の発現を確認している。第三に、ペレニアルライグラス由来フルクタン遺伝子であるprft3,prft4について、アグロバクテリウムによる遺伝子導入を行い、当該遺伝子が導入されたと考えられる薬剤耐性カルスおよびシュートを得ている。現在、植物体への遺伝子導入を確認中である。
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