2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 敏彦 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70343952)
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Keywords | 飼料作物育種 / 遺伝子導入 / 低温耐性 / フルクタン合成酵素遺伝子 / カルス培養 |
Research Abstract |
低温耐性に関連する複数のフルクタン合成酵素遺伝子やCBF遺伝子が、寒地型イネ科牧草から単離・同定されている。そこで、これらの遺伝子における低温耐性に関する機能を明らかにするとともにこれらの遺伝子をシバ(Zoysia japonica)への導入を試みる。 チモシーから単離したフルクタン合成酵素(FT)遺伝子の機能解析を行った。当初、シバに遺伝子導入して機能解析をする予定であったが、組換え実験系の確立が遅れたため、イネ科モデル植物を用いて、チモシーから単離した高重合度フルクタン遺伝子(PpFT1)の機能解析を行った。Brachypodium distachyonの二倍体自殖系統「Bd21-3」未熟胚由来エンブリオジェニックカルスを用いて、アグロバクテリウム法によりトウモロコシ由来ユビキチンプロモーターに接続したPpFT1を導入して、形質転換植物を得た。3世代自殖を繰り返し、T_3世代で表現型を解析した。FT遺伝子の導入により明らかな生育障害が認められたが、形質転換植物ではフルクタンの生成が認められた。常温下では形質転換植物の耐凍性向上がみられなかったが、低温順化することにより、重合度の高いフルクタンが蓄積され、また、対照植物との比較で10倍以上の高い含量のグルコース蓄積がみられた。そのため、PpFT1を導入した系統では、単糖の大幅な増加などの糖組成の変化が耐凍性向上に寄与したと推察されたが、生成されるフルクタンと耐凍性の関連性は明確にはならなかった。 シバにおける遺伝子導入技術が、当初計画どおりに進まなかったので、新しい形質転換技術を確立するために、シバ完熟種子から切り出した胚を数日間前培養してからパーティクルポンバードメント法やアグロバクテリウム法によって形質転換させる手法を、昨年度に引き続き、検討した。緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子の発現が細胞で観察され、遺伝子が効率よく導入されたことを確認できた。カルスの増殖速度の遅いシバにおいては、形質転換植物体作出の期間短縮に有効であると考えられた。
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Research Products
(4 results)