2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380152
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辰巳 隆一 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (40250493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
水野谷 航 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (20404056)
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Keywords | 骨格筋 / 筋幹細胞 / 衛星細胞 / 幹細胞増殖因子HGF / マイオスタチン / 食品機能性 / アンタゴニスト / 筋肥大・再生 |
Research Abstract |
人口増加や気候変動による食糧危機が叫ばれるなか、良質な動物性タンパク質の安定供給は人類の生存にとって環境問題と並ぶ最重要課題の一つである。このため家畜・家禽1個体当たりの骨格筋量を増加させ、食肉の生産性(生産効率や生産量)を飛躍的に向上させる安全かつ安価な技術開発が待たれている。本研究では、筋肥大誘導の最大のターゲットである分子機構「衛星細胞(筋幹細胞)の活性化・休止化の機構」を解明し、これを制御する食品機能性物質を見出すことを最終目標としている。 初年度に続き次年度では、「衛星細胞の活性化と休止化の分子機構」を解明することを目的とした。活性化機構に関しては、物理刺激によるマトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)の関与を明らかにするとともに、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇と一酸化窒素ラジカル(NO)依存的な酵素活性発現機構を明らかにした。これらの研究成果により、これまでに追究してきた衛星細胞の活性化機構が、物理刺激をトリガーとして作動する「カルシウムイオン・カルモジュリン・NO合成酵素・MMP2・肝細胞増殖因子(HGF)・受容体C-METを要素とするカスケード」であることが解明された。休止化機構に関しては、ラット骨格筋から単離した衛星細胞の初代培養系を用いて、活性化因子HGFの濃度が50ng/mlを超えると休止化誘導因子であるマイオスタチンの発現が誘導され、衛星細胞の増殖が抑制されることを見出した。 この現象はneuropilin-1(Npn-1)と呼ばれる細胞膜受容体に対する中和抗体で完全に阻害されたことから、Npn-1がHGFの低親和性受容体の可能性が示唆された。また、Npn-1の共同受容体を明らかにすることを目的にNpn-1抗体による免疫沈降を行ったところ、数種類のタンパク質が得られ、現在、その同定作業を進めている。以上の結果から、筋肥大・再生の過程で衛星細胞周辺のHGFが高濃度に達すると細胞が休止化し増殖を停止するという分子機構の存在が示唆された。
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Research Products
(4 results)