2007 Fiscal Year Annual Research Report
減投薬家畜生産システムの確立に向けた子豚の粘膜免疫発達に関する研究
Project/Area Number |
19380153
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
牛田 一成 Kyoto Prefectural University, 農学研究科, 教授 (50183017)
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Keywords | 仔ブタ / 腸管IgA分泌 / 離乳 / 抗菌剤 |
Research Abstract |
家畜生産において、幼動物の健康管理は最重要の課題である。とくに離乳の前後から種々の感染症に陥りやすいためである。このため、ほ乳期および離乳期の飼料に抗菌物質を添加することが常態となっている。しかし、安全・安心な食料を求める消費者心理から、社会的に家畜に抗菌物質を安易に投与することが許されなくなってきたために無薬あるいは減投薬畜産の確立が急がれている。そのためには幼動物の感染抵抗性の増強をはかるため粘膜免疫系の発達を促す方法論を確立する必要がある。本研究は、子ブタの免疫系の発達を、特に糞便中の分泌型IgA濃度の推移から経日的に把握し、粘膜免疫の発達を促すために最も効果的な介入時期と手段を明らかにしようとするものである。今年度は仔ブタの粘膜免疫発達指標となる腸管内IgA濃度について出生後の成育に伴う推移を測定した。哺乳期および離乳期仔ブタ用の飼料については、比較のために無薬飼料と抗菌剤添加飼料を用いた。4腹の妊娠母豚を用意し、3頭から生まれた子豚各4頭ずつには無薬の飼料を1頭から生まれた子豚3頭には抗菌剤添加飼料を哺乳期よりあたえた。仔ブタの性別の影響をみるために2腹は雄のみを選抜し2腹は雌のみを選抜した。25日齢で母豚より離し強制離乳した。出生時を0日とし以降50日齢になるまで毎日糞便を採取した。1日齢の仔ブタ糞便中のIgA濃度は10^4μg/gであった。その後の数日間で10^5μg/gまで上昇したが次の10日間で10^1μg/g程度まで減少した。ここから離乳までほぼ同水準で推移した。そして、離乳に伴ってさらに減少を示しELISA法による検出限界に近づいた。糞便中のIgAは、極めて低いまま推移し50日齢になっても回復することがなかった。抗菌剤含有飼料を与えた群では糞便中のIgA濃度が無薬飼料と比べて低く推移する傾向が認められたが、統計的な有意差を示すことは少なかった。
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