2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380154
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宮本 明夫 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 大学院・畜産学研究科, 教授 (10192767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 隆 帯広畜産大学, 大学院・畜産学研究科, 助教 (90375113)
松井 基純 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (20374762)
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Keywords | 黄体 / 退行 / PGF2α / 血管機能 / データベース / ウシ |
Research Abstract |
本研究では、ウシ黄体の退行現象について「3次元退行カスケードの解明を基盤として、上位の黄体退行仲介因子の複合的抑制による退行しない黄体を作出する」ことを目指し、黄体退行局所調節メカニズムの概念の進展と受胎率向上への新しい技術開発の展望を得ようとするものである。平成19年度(初年度)は、以下の2つの項目について検討した。 1)退行中の黄体組織におけるタンパク・遺伝子発現に関する3次元の変動データベース構築 本項目のために30頭の雌ウシの卵巣割去予定であったが、諸般の酪農事情から実験牛の入手が大幅に遅れ、卵巣採取が終了したのが年度終わりとなった。早速、試料の網羅的な解析に入っている。これまでに、3種のPGFレセプターがPGF投与後5-15分で既に減少し始めていることが分かった。この時間帯は、PGF投与で誘導される黄体周辺部の局所血流の増加より10分程度早く、投与したPGFが黄体内のレセプターに結合して血流増加が起きることを示唆している。加えて、P産生系の促進制御因子であるStAR,LRHが15分で既に急激に減少していたことから、PGFは従来考えられていたよりも早い時期に、黄体細胞でのP分泌を直接抑制し始めることが考えられた。今後の網羅的な解析によって、相当量の新しいデータベースが得られることが期待される。 2)主要な黄体退行仲介因子の1つと考えられるET-1の合成を促進する酵素であるECE-1の抑制剤を黄体内に投与し、PGF投与による退行過程で、P分泌の減少には影響しなかったが、黄体組織への血流供給の減少と組織の萎縮が対照群に比べて大きく遅れた。このことから、ET-1を抑制することで、黄体退行の組織の萎縮を大幅に抑えられる可能性を掴んだ。本実験の黄体試料について、他の関連する因子群の動態の詳細な解析を進めている。
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