2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチド、メタスチン/キスペプチンによる生殖の中枢制御機構
Project/Area Number |
19380157
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
束村 博子 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (00212051)
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Keywords | メタスチン / GPR54 / キスペプチン / 黄体整形性ホルモン(LH) / エストロジェン / 視床下部弓状核(ARC) / 前腹側室周囲核(AVPV) / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH) |
Research Abstract |
ほ乳類の生殖機能を制御する中枢機構を明らかにすることを目的とし、脳内メタスチン/キスペプチンニューロンによる生殖制御に注目して以下の実験を行った メタスチン/キスペプチンニューロンの細胞体が、前腹側室周囲核(AVPV)とおよび視床下部室傍核(ARC)に局在するとの過去の実験より、これらの2つのメタスチン/キスペプチンニューロン群の生理的役割を明らかにするため、AVPVはエストロジェンのポジティブフィードバックによる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)/黄体形成ホルモン(LH)サージを制御する本体であり、ARCに局在するメタスチン/キスペプチンニューロンが、パルス発生機構そのものであるとの仮説を立て、これを支持する結果を得た。具体的には、成熟後に卵巣除去(OVX)を施したラット、および生後24時間以内に精巣除去(CAST)を施したラットにおいて、高濃度のエストロジェン処置がAVPVのメタスチンニューロン発現およびLHサージを誘起することを示した。一方、成熟後に精巣除去した雄ラットおよび生後5日目にエストロジェン処置した雌ラットにおいては、高濃度エストロジェン処置は、AVPVメタスチンニューロン発現およびLHサージを誘起できないことを示した。メタスチン受容体であるGPR54の遺伝子発現については、以上の処置は何ら効果を示さないことから、高濃度エストロジェンはAVPVメタスチンニューロンにおけるメタスチン発現の増加を促すことにより、エストロジェンのポジティブフィードバック制御することを示唆した。また、ARCのメタスチン遺伝子およびタンパク発現は、エストロジェン処理により抑制されることから、ARCメタンチンニューロンはエストロジェンの規程的LH分泌に対する負のフィードバック効果を仲介する可能性が高いことを示した。
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