2007 Fiscal Year Annual Research Report
卵子特異的遺伝子0og1の機能解析と胚性ゲノム活性化の分子基盤
Project/Area Number |
19380158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 直治郎 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (30212236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 靖司 (独)放射線医学総合研究所, 先端動物推進室, 主任研究員 (20311376)
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Keywords | 0og1 / 胚性ゲノムの活性化 / RNAi / 遺伝子発現 / 初期発生 |
Research Abstract |
本年度の研究は下記の点について実施した。 研究計画1)RNAi法を用いた0oglの機能解析: 受精後の1細胞期後期に0oglは核に移行することから、この時期に何らかの機能を持っていると考えられる。その機能を阻害する目的で、二本鎖RNA干渉(RNAi)法を用いた。この方法は二本鎖RNAを卵子細胞内に導入すると、導入RNAがDicerと呼ばれるRNA分解酵素によって、約21塩基の一本鎖RNAに分解される。分解によってできたこのRNAはsiRNA(small interfering RNA)とよばれ、配列特異的にmRNAに結合し、そのmRNAの分解や翻訳阻害を引き起こす。しかしながら、0oglは受精前の早い時期から卵子内に存在するため、この時期だけ二本鎖RNAを作用させても機能を抑制できない。 研究計画2)トランスジェニックマウスを用いた0oglの機能解析: この問題を解決するために、0ogl遺伝子を抑制する上記RNAi機能を受精前の卵母細胞から発現するようにデザインしたトランスジェニックマウスを作出した。0ogl遺伝子配列の2か所をターゲットとして形質転換ベクターを構築した。また、プロモーターには卵子形成期に特異的に発現するZP3を用いた。これらの構築遺伝子を受精卵の前核に注入し、トランスジェニックマウスを作出した。2種類の形質転換ベクターから合計9系統のトランスジェニックマウスを作出した。これらのトランスジェニックマウスを用いて、受胎性と初期胚の発生能について検討した。受胎性については5系統の雌のうち4系統の雌において、対照区と比較して有意に出生産仔数が減少した。また、F1系統のトランスジェニック雌マウスから回収した初期胚の発生能について検討した結果、ある系統については初期胚の発生が2-8細胞期の間に停止するものが確認できた。しかしながら、トランスジェニックマウスの受精卵においても正常に発生するものもみられ、系統や個体間に差があることが明らかとなった。これらのことから、安定した系統を確立するためにも今後F2のトランスジェニックを用いた解析を行う。
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