2009 Fiscal Year Annual Research Report
卵子特異的遺伝子Oog1の機能解析と胚性ゲノム活性化の分子基盤
Project/Area Number |
19380158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 直治郎 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (30212236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 靖司 (独)放射線医学総合研究所, 先端動物実験室, 主任研究員 (20311376)
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Keywords | Oog1 / 胚性ゲノム / プロモーター活性 / 卵母細胞 |
Research Abstract |
Oog1遺伝子は卵巣内卵母細胞から発現を開始し、受精後の2細胞期まで発現する。この間の1細胞期後期から2細胞期前期にかけて核内に局在することから、Oog1はこの時期に重要な働きを持つことが予想される。そこで、卵母細胞期のOog1の機能を抑制するため、卵母細胞に特異的に発現するZP3プロモーターを用いてOog1の2本鎖RNAを発現するトランスジェニックマウスを作出し、その表現形の解析を行った。F3世代の卵母細胞を用いてリアルタイムPCRを行った結果、Oog1のmRNAが著しく抑制されている系統を得ることが出来たが、不妊傾向や胚の発生異常は観察されなかった。しかしながら、ウエスタンブロットによるタンパク質量の解析では、タンパク質量の低下がほとんど認められなかったことから、2本鎖RNAによる遺伝子の抑制効果(mRNAの分解と翻訳抑制)は表れているものの、この抑制前に既にタンパク質の翻訳が行われているのではないかと考えられる。トランスジェニックマウス作製に用いたZP3プロモーターは卵胞形成期の卵母細胞で発現を開始することが示唆されており、Oog1遺伝子の発現よりZP3の発現が遅れることがこの原因だと考えられる。また、卵巣におけるOog1タンパク質の発現解析を行ったところ、Oog1タンパク質は胎齢14.5目の卵巣内卵母細胞で発現を開始し、胎齢15.5日の卵巣内卵母細胞ではタンパク質が核に局在することが明らかとなった。この時期の卵母細胞は減数分裂期前期のパキテン期にあることから、この時期にOog1が機能している可能性が示唆された。そこで、Oog1遺伝子の上流領域を解析した結果、上流730bpの領域にプロモーター活性があることを見出すことができた。これらのことから、より早い時期の卵母細胞で2本鎖RNAを発現するトランスジェニックを作出して、Oog1の機能解析を行うことが必要であると考えられた。
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