2007 Fiscal Year Annual Research Report
知覚神経培養細胞と神経組織標本を用いた疼痛反応の定量化に関する研究
Project/Area Number |
19380163
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 茂男 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40109509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乙黒 兼一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (40344494)
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Keywords | バニロイド受容体 / TPRV1チャネル / 痛覚過敏 / 後根神経節 / 新生ラット脊髄標本 / 5-hydroxytryptamine / カプサイシンン / アデノシン |
Research Abstract |
1)バニロイド受容体チャネルの機能解析:ブタ、ラット及びヒトのバニロイド(Transient Receptor Potential、TRPV1)受容体の全長遺伝子をHEK293細胞に発現させた。このHEK細胞の細胞内Ca濃度を測定し、カプサイシンを投与すると細胞内Ca濃度が増加した。ブタのpTRPV1チャネルの機能的性質を調べた結果、ラット及びヒトのTRPV1と同様、42℃以上の温度とpH低下で活性化されたが、カプサイシン反応の遮断薬であるカプサゼピンは、ラットのそれとは異なり、熱刺激やpH低下による反応を抑制した。カプサゼピンによる抑制反応はヒトのhTRPチャネルでも見られることから、pTRPはhTRPと機能的に類似していることが明らかとなった。 2)一次知覚神経におけるカプサイシン反応を修飾する生理活性物質の解析:ラット後根神経節を酵素処理して分離した細胞を培養し、一次知覚神経(背根神経節細胞)培養細胞を得た。カプサイシン、熱及びpH低下によりこの細胞を刺激すると細胞内Ca増加を起こし、これらの反応は5-HTにより大きく増強された。5-HTによるTRPV1チャネルの増強反応は、5-HT_<2A>と5-HT_7受容体の活性化が関与し、それぞれPKCとPKAを介する細胞内情報伝達によりTRPV1機能が亢進していることが示された。炎症部位における終痛過敏の一部には、血小板などから放出される5-HTが関与していることが示唆された。 3)新生ラット摘出脊髄を用いた神経伝達物質と生理活性物質の反応:高炭ガスを通気した溶液を新生ラット脊髄に灌流投与すると、侵害受容反射が抑制され、この抑制反応はアデノシンA1受容体遮断薬で部分的に回復した。このような抑制反応はpH低下では生じないことから、高炭酸がアデノシン放出を起こし、シナプス伝達を抑制することが示された。また、低酸素ガスを通気した溶液を投与すると、単シナプス反射と侵害受容反射が抑制され、前者はアデノシン遮断薬で強く回復するが、後者はほとんど影響を受けないことが示された。
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Research Products
(14 results)