2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムバイオロジーを基盤とした黄色ブドウ球菌の病原性進化の解析と危害評価
Project/Area Number |
19380173
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
品川 邦汎 Iwate University, 農学部, 教授 (60133906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重茂 克彦 岩手大学, 農学部, 准教授 (60224309)
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Keywords | S. aureus / Stanhvlococcal enterotoxin / recombinant DNA / genome biology / diagnosis / pathogenicity islands |
Research Abstract |
Staphylococciのゲノム配列情報を解析し、ブドウ球菌エンテロトキシン(SEs)は、黄色ブドウ球菌の重要な病原因子であり、ヒトの食中毒の原因毒素である。SEs遺伝子群はprophage, plasmid, pathogenicity islandsなどの可動性遺伝因子上に存在し、菌株間を水平移動することにより黄色ブドウ球菌の病原性進化に係わると考えられている。本年度は、黄色ブドウ球菌のゲノム解析に基づいてpathogenicity islands(SaPls)を増幅するためのLA-PCR primer setsを設計し、黄色ブドウ球菌ゲノム上に存在するすべてのSaPlsを検出する系(SaPI scanning)を確立した。この系を用いてSEB遺伝子を保有する黄色ブドウ球菌菌株のSaPlsを解析し、SEB遺伝子は少なくとも5種類のSaPlsによってコードされていることを明らかにした(投稿準備中)。 さらに、プラスミド上に存在する2種類の新型SEsについてその生物活性を詳細に解析し、SESおよびSETと命名した。SESはMHCclassII分子存在下でTcell receptor Vb 9および16を保有するTcellを特異的に活性化するスーパー抗原活性を有し、さらにカニクイザルに経口投与すると5時間以内に嘔吐を引き起こす、典型的なブドウ球菌エンテロトキシンであった。しかしながら、SETはMHC class II存在下でTcellを活性化するものの、そのVb特異性は明瞭ではなく、また、カニクイザルへの経口投与で投与後24時間以降に遅発性に嘔吐を引き起こしたことから、従来から知られているブドウ球菌エンテロトキシンと類似する構造を有するが、その活性は典型的なSEsとは異なるものであることを明らかにした(lnfection and Immunity 76 : 4999-5005, 2008)
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