2007 Fiscal Year Annual Research Report
犬における造血幹細胞を用いた自家骨髄移植療法の開発
Project/Area Number |
19380175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 元 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90294660)
藤野 泰人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70401180)
越野 裕子 (後藤 裕子) 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, リサーチフェロー (80436518)
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Keywords | 犬 / 高用量化学療法 / 骨髄移植 / 造血幹細胞 / 治療 / 凍結保存 / リンパ系腫瘍 / リンパ腫 |
Research Abstract |
小動物臨床においては腫瘍症例の増加が顕著であり,なかでも内科領域においては致命的となりうる悪性腫瘍としてリンパ系腫瘍が最も高頻度に認められ,臨床的に大きな問題となっている。本研究は,造血幹細胞を用いた自家骨髄移植療法を応用することにより,高用量化学療法の際に障害となる骨髄抑制を回避することを目的として企画したものである。 本年度においては,はじめに犬の骨髄からCD34陽性造血幹細胞を単離するシステムを検討した。マウス抗イヌCD34モノクローナル抗体と磁気ビーズ標識抗マウスIgG抗体を用いた磁気ビーズソーテイング法(MACS)により,犬の骨髄細胞中に含まれているCD34陽性細胞を90〜95%の純度で単離することに成功した。また,これらCD34陽性細胞はメチルセルロース培地血球コロニー形成法において,各種血球コロニーを形成することが示され,その多能性が確認された。さらに,これら骨髄由来細胞の移植への臨床応用を行うため,その凍結保存に最適な条件を検討した。細胞生存率および血球コロニー形成能によって検討したところ,5%DMSO,6%ヒドロキシエチルスターチおよび4%アルブミンを含む溶液を用いて凍結保存した場合,6ヶ月間にわたり80〜90%)細胞生存率および70〜80%の血球コロニー形成能が維持された。これらの値はこれまで標準的に用いられてきた10%DMSO添加牛胎子血清において得られた値よりも有意に高いことが示された。 今後,これら骨髄単核細胞およびCD34陽性造血幹細胞の自家骨髄移植を行うことによって高用量化学療法を臨床的に実施可能とし,リンパ系腫瘍症例における治療成績の向上をめざした研究を進展させたい。
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Research Products
(3 results)