2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋細菌の有する有機スズ耐性機構の解明と生態系評価への応用
Project/Area Number |
19380184
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 Ehime University, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90196816)
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Keywords | 環境汚染 / 微生物生態系 / 耐性 / 有機スズ |
Research Abstract |
前年度までに有機スズTBTを分解できる細菌Aeromonas molluscorumを特定したが,本年度は新規耐性遺伝子としてsugE様遺伝子を特定した.さらに,sugE様遺伝子の構造を明らかにし,機能が推定された.本遺伝子は低分子薬剤耐性遺伝子群に属するため,TBTの排出を行なっていることが示唆された.さらに,TBT添加時の遺伝子発現も検討され,TBTに反応する遺伝子であることが解明された.現在この遺伝子について,当初の目的の一つであるバイオセンサーとしての生態系評価技術への応用を検討中である.現時点までにプラスミドに組み込んだsugEがTBTセンサーになりうるという予備知見を得ており,本科研費期間後にはなるが,当初の目的は達成できる目処がたっている.また,本研究遂行過程ではA.molluscorum以外のいくつかの海洋細菌のTBT耐性機構も明らかにされつつある.特に,Pseudoalteromonas sp.M-1株のsecA遺伝子がTBT耐性遺伝子として機能することを明らかにし,本遺伝子はM-1株においては常に発現している遺伝子であることがmRNA発現解析から明らかになった.本株がTBT暴露後即座に高耐性を示す機構にはsecAが関与していることが示唆された.加えて,TBTの原核生物に対する毒性機構が新たに解明された.すなわち,TBTは細菌のATP,NADHなどのエネルギー産生および酸化還元代謝系に影響をあたえ,細胞サイズも矮小化することが示された.一方でTBT耐性菌では影響が少ない事から,これらの機構が耐性化していると考えられた.本研究では,いくつかの新規TBT耐性遺伝子が特定され,sugEではバイオセンサーへの応用の可能性を示した.また新たなTBT毒性機構を見いだし,微生物細胞および生態系へのTBTの影響について多くの新知見をあたえることができた.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Effect of tributyltin(TBT)in the metabolic activity of estuarine bacteria2010
Author(s)
Cruz, A., Oliveira, V., Baptista, I., Almeida, A., Cunha, A., Suzuki, S., Mendo, S.
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Journal Title
Environmental Toxicology (印刷中)
Peer Reviewed
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