2009 Fiscal Year Annual Research Report
動物精子表面糖鎖による新しい受精能制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
19380192
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (80192558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 幹 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20144131)
佐藤 ちひろ 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (10343211)
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Keywords | 糖鎖 / flagellasialin / シアル酸 / ポリシアル酸 / 硫酸化シアル酸 / 受精 / 精子運動 / 生体膜マイクロドメイン |
Research Abstract |
1.精子鞭毛糖タンパク質flagellasialinによる精子運動制御と糖鎖の役割解明:flagellasialin相同分子について、鳥類では候補分子が絞り込めなかったが、哺乳類では、ブタ精子鞭毛に存在するWGAレクチン反応性の多分散性をもつ糖タンパク質を完全精製し、WGA-gpと命名した。部分アミノ酸配列を決定し、現在、cDNAクローニングを行っている。アミノ酸配列の相同性からは、マウスなどの動物には相同分子は見いだされず、動物種に特有の分子であることが推定される。また、糖鎖構造の推定を行い、WGA染色性が末端N-アセチルグルコサミン残基に由来することが判明した。WGA-gpに対する特異的抗体を調製したところ糖鎖部分を認識する抗体であった。さらにその抗体が精子運動を弱めること、細胞内カルシウムイオンの上昇を引き起こすことを見いだした。これらはウニflagellasialinに対する抗体の効果と共通であり、WGA-gpがflagellasialinと機能的に同等の分子であることが示唆された。なお、現在投稿論文準備中である。 2.精子表面酸性糖鎖による精子が高受精能品質を獲得する機構の解明:精子表面に結合している精漿糖タンパク質を見出し、完全精製を行い、WGA16と命名した。WGA16は強塩基性糖タンパク質であるが、精子膜表面への保持は静電的相互作用ではなく疎水性相互作用の寄与が大きいことがわかった。さらにWGA16が細胞表面から脱離すると受精能が上昇することが判明した。WGA16が強塩基性分子であることから、WGA16が脱離した後は、精子表面の酸性基量が増加すると考えられ、高受精能獲得に酸性糖鎖の精子表面への露出が必要である可能性が考えられ興味深い。今後、その実体を解明する必要があるが、WGA16は高い受精能の持続に関わる分子である可能性が高い。
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Research Products
(3 results)