2007 Fiscal Year Annual Research Report
巨大DNAを効率良く導入するマイクロキャリアーの開発の導入領域の分子細胞学的解析
Project/Area Number |
19380194
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
向井 康比己 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (30110795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 希一 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00311770)
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Keywords | 巨大DNA / 形質転換 / 穀粒品質遺伝子 / マイクロキャリア / バイオアクティブビーズ / 人工染色体 / 可視化 / イネ |
Research Abstract |
今年度は、まずまじめに、コムギ粉硬質・軟質に関与する遺伝子群(puroindoline-a、puroindoline-b、GSP-1)を含むBAC10を、ハイグロマイシン耐性の遺伝子をもつベクターにつなぎ変え、バイオビーズ法に適した選択マーカーをもつコンストラクトを作製した。アルギン酸カルシウムのサイズ、粘度、加えるDNAの量、PEGの濃度などのパラメータについて形質転換効率に対しての最適な組み合わせを検討し、イネプロトプラストを対象に100kbサイズの巨大DNAを効率良く導入するための条件を明らかにした。そして、バイオビーズ法を用いて複数のコムギ遺伝子を含む約100kbの巨大DNAを導入した20個体の形質転換イネの作出に成功した。導入遺伝子の存在は、導入遺伝子をターゲットとしたPCR、サザンハイブリダイゼーションにより確認した。PCR解析の結果は、導入遺伝子の存在と共に、巨大DNAの中でいくつかの再編成が起きている事を示唆した。一方で、サザンハイブリダイゼーションの結果は、すべての形質転換体で低コピーの遺伝子導入が起きている事を示唆した。これらの結果は、バイオビーズ法を用いた巨大DNA断片の導入による形質転換イネの作出が可能であること、また本手法が低コピーの遺伝子導入を可能とする手法であることを示した。さらに、導入DNAのFISHによる可視化技術を開発した。得られた形質転換体の内、ホモ個体はFISHにより2対のシグナルを持っていることで確認した。このホモ個体において導入遺伝子の発現をRNAレベル、タンパク質レベルで解析した。これらの結果は、安定な遺伝子発現を実現するために巨大DNA内の再編成を回避する手段の必要性とともに、バイオビーズ法を用いたオーセンティックなプロモーター領域をも含んだコムギ巨大DNA断片導入による形質転換イネ作製という本研究の妥当性を示した。
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