2010 Fiscal Year Annual Research Report
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19390002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根東 義則 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90162122)
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Keywords | フォスファゼン / 有機超強塩基 / 触媒反応 / 有機ケイ素 / 有機亜鉛 / 脱プロトン / 芳香環 / 複素環 |
Research Abstract |
フォスファゼン塩基触媒を用いる有機ケイ素化合物、有機亜鉛化合物の活性化についてこれまでに新しい触媒反応を開発したので、その反応機構について各種スペクトルを用いたフォスファゼンと種々の元素との相互作用の解析を行った。有機ケイ素化合物の触媒的な活性化については、トリアルキルアミノシランやトリアルキルシランなどの有機ケイ素化合物から脱プロトン化のためのアミド塩基あるいはヒドリドを触媒的に発生させる系を検討した。例えば芳香環の脱プロトン化反応についてはこれまで当量のフォスファゼン塩基が必要であったが、種々の有機ケイ素化合物を添加剤として加えることにより触媒量のフォスファゼン塩基で、脱プロトン-修飾反応が進行するシステムの開発を行う。すでに平成21年度の研究において添加剤としてアルキニルシランが有効であることが明らかとなりさらに最適化をはかるとともにその反応機構の解析を行った。また有機亜鉛化合物の活性化反応についてはSN2'反応の促進効果について機構解析を含めて検討した。また有機亜鉛化合物の活性化においては、ドナー性の高い極性溶媒をもちいることにより有機亜鉛化合物の反応性が著しく向上することがすでに明らかになっているので、種々の親電子剤に対する挙動を検討した。これまで有機亜鉛化合物はパラジウムやニッケルなどの遷移金属触媒の存在下においてのみ二酸化炭素と反応することが知られているが、フォスファゼン塩基触媒あるいはドナー性の高い極性有機溶媒を用いることにより、遷移金属を用いないカルボキシル化反応の開発を行うことができた。環境に調和する二酸化炭素の固定化反応として重要と考えられる。これに付随してこのカルボキシル化反応を複素環化合物の合成に幅広く適用を試みた。また、フォスファゼン塩基を触媒とする環化反応の検討を行い、とくにピロールなどの複素環化合物の新しい合成法の開発を行った。
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