2009 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的高効率変換法の開発と生理活性物質合成への応用
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19390003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 教授 (90117846)
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Keywords | 立選択的合成法 / β-ヒドロキシ-α-アミノ酸 / 不斉水素化反応 / ニッケル / α-アミノ-β-ケト酸エステル / JosiPhos / Dysiherbaine / 動的速度論的分割 |
Research Abstract |
触媒的合成法はごく少量の触媒から多量の生成物を生産することが出来、廃棄物の観点からも環境調和型の有機合成プロセスとして欠かせない方法である。グリーンケミストリー、アトムエコノミーの観点からも期待される方法である。我々は生理活性物質合成の中間体で医薬品開発にも有用なアンチ型β-ヒドロキシ-α-アミノ酸の高立体選択的合成法の開発に世界に先駆けて成功している。本研究ではこれまでのRu触媒,Ir触媒を用いる方法に加えて比較的クラーク数が大きく資源の枯渇の心配のない、水素化の潜在特性の高いニッケルに焦点を当て、均一系高選択的不斉水素化反応の開拓を行った。応用研究としてのアンチ型β-ヒドロキシ-α-アミノ酸の高立体選択的合成法に基づく生理活性天然有機化合物の全合成への応用研究も合わせて行った。 錯体形成に用いるニッケル化合物のスクリーニングをしたところ、安価な酢酸ニッケルと塩化ニッケルが前駆物質として良好であることが判明した。最も難しい反応系α-アミノ-β-ケト酸エステルの動的速度論的分割をへる水素化反応をモデルとして至適な配位子を調査したところ市販のJosiPhosがもっとも適していることが分かった。種々のα-アミノ-β-ケト酸エステルの水素化反応に適用し、芳香族基質について一般性があることがわかった。本研究で得られるβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸を含む海洋産環状ペプチドパプアミド類の合成に応用し、これらに含まれる(2R,3R)-β-ヒドロキシロイシン,(2R,3R)-β-メトキシチロシンの立体選択的合成に成功した。これらからパプアミドの合成は現在、最終段階にあるが、完成にはもう少し時間が必要である。
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Research Products
(4 results)