2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 求 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (20243264)
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Keywords | 銅触媒 / 還元的Mannich反応 / ケトイミン / アミノ酸 / 触媒的不斉合成 / 共役還元 / ヘテロDiels-Alder型反応 / 金属交換 |
Research Abstract |
キラル銅触媒を用いた、α,β-不飽和エステルとケトイミンとの間の還元的Mannich反応を開発した。本反応は、様々な医薬リードの合成に有用なβ,β,α-アミノ酸合成の基盤反応となりうる。まず、触媒として酢酸銅-トリフェニルホスフィン錯体、還元剤としてピナコールボランを用いる、基質一般性の高い、高ジアステレオ選択的な反応条件を確立した。この条件を基盤として、キラルホスフィン配位子を用いて不斉触媒化をおこなったが、有意なエナンチオ選択性は発現できなかった。そこで還元剤としてトリエトキシシランを用いたところ、DIFLUORPHOSを不斉配位子とすることにより、高いエナンチオおよびジアステレオ選択性を発現できることを見出した。ピナコールボランを還元剤としたときには、銅触媒関与によるα,β-不飽和エステルの共役還元の後に、銅エノラートからの金属交換によって生じたホウ素エノラートの反応性が高いために、アキラルなホウ素エノラートからのMannich反応が進行して、エナンチオ選択性の発現が見られなかったものと考えられる。それに対してシラシを還元剤としたときには、共役還元の結果生成するキラルな銅エノラートからの不斉Mannich反応が、エノラートのケイ素にようトラップに優先して進行するために、高いエナンチオ選択性が得られたものと考えている。また、Danishefsky型シロキシジエンを求核剤として用い、キラル銅触媒によるケトンに対する触媒的不斉ヘテロDiels-Alder型反応を開発した。シロキシジエンからの金属交換による求核剤の触媒的活性化が、この反応では促進の鍵となっている。いずれの反応とも世界初の達成であり、今後の医薬リード合成への展開が期待される。
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