2008 Fiscal Year Annual Research Report
回転選択的オレフィン化反応を起点とする高度置換有機分子の短工程精密構築
Project/Area Number |
19390007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新藤 充 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 准教授 (40226345)
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Keywords | イノラート / オレフィン化 / 回転選択性 / 理論計算 / ナザロフ反応 / 電子環状反応 / 不斉触媒 / 不斉反応 |
Research Abstract |
アルキニルケトンを基質としてイノラートを反応剤とする回転選択的オレフィン化反応を検討した。その結果、高いE選択性で四置換アルケンを含むエンイン化合物を合成することに成功した。従来の我々のオレフィン化反応の立体制御はヘテロ原子の特性に基づくものであったが、今回、炭素官能基による立体制御に初めて成功した。理論計算により、アルキニル基のπ軌道が強い電子供与性基として機能していることが判明した。その結果、オキセンテン中間体(β-ラクトンエノラート)の電子環状開環反応においてアルキニル基がoutwardに回転し、高いtorquoselecitvityの制御に繋がったものと考えられる。この生成物のアルキンをリンドラー触媒で部分還元すると1,3-ジエンが生成した。なお、アルキニルアルケニルケトンでも高選択性が発揮されたが、アルキニルフェニルケトンでは選択性は見られなかった。 エステルの高度オレフィン化反応により生成したβ-アルコキシアクリル酸をβ-アルコキシジビニルケトンへ導き、これを基質に酸触媒高速ナザロフ反応を昨年度までに見出した。今回、キラル酸触媒による不斉ナザロフ反応を検討した。その結果、スカンジウムトリフルオロメタンスルフォナートとpyboxとの錯体が高い不斉誘導能を示し、最高90%eeでαアルコキシシクロペンテノンを与えた。またキラルプロトン酸でも中程度の不斉収率が得られた。本反応の反応機構を考察するとアルコールがケトンのα位に求核攻撃することにより不斉4級炭素が構築される極性転換型高度不斉反応であり、新規な不斉反応である。
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