2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末宗 洋 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (20095897)
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Keywords | ペプチド / ヘリックス / α,α-ジ置換環状α-アミノ酸 / ペプチド2次構造 / 不斉エポキシ化反応 / 不斉分子触媒 / スピンラベル化ヌクレオシド / スピン-スピン相互作用 |
Research Abstract |
研究の目的:ペプチドおよび核酸をツールとした新たなナノ・ヘリックス機能性分子の創製とその構造特性の精査ならびに機能探索・機能開発を目的とし、1.新規光学活性α,α-ジ置換環状α-アミノ酸合成と、そのホモおよびヘテロペプチドの創製2.ナノヘリックスによる不斉反応の開発3.新規スピンプローブを導入したスピンラベル化ODNの創製とそのESRスペクトルの精査の3項目について重点的に研究を実施した。以下、各項目の実績を記す。 1.環状ジ置換アミノ酸A_<c5c>^<dOM>をL-Leu中に導入したペプチド合成および新規な環状ジ置換アミノ酸(1S,3S)-A_<c5c>^<OM>と(1S,3R)-A_<c5c>^<OM>の合成に成功し,それらペプチドの2次構造解析を実施した。結果、前者ではヘテロヘキサペプチド、後者ではホモペプチドのX線結晶構造解析に成功し、アミノ酸のジアステレオマーとそのペプチドのヘリカル2次構造の巻き方の関係を明らかにした。また、ペプチドの溶液中での2次構造解析も実施した。 2.前記項目1で合成したヘリカル2次構造オリゴペプチドを触媒として、カルコンの不斉エポキシ化反応を検討した結果、85%ee以上のエナンチオ選択性でエポキシ体が得られることを明らかにした。また、ペプチド鎖長と触媒機能の関係についても明らかにした。 3.インターナルダイナミクスをモニターするDNAプローブの開発を目指し、2個のスピンラベル化ヌクレオシドを異なる間隔で導入したODN数種を合成し、一本鎖、二重鎖におけるESRスペクトルを精査した。二重鎖の場合、隣接して2個導入したもの(ラジカル間距離;約4A)は、ESRスペクトルのピーク高さが、1個導入したODNよりかなり小さいという興味深い知見を得た。ラジカル間距離が増加するにつれ、ピーク高さも増加し、4塩基対離れたODN(ラジカル間距離;約18A)では1個導入したODNの倍のピーク高さを示した。本知見は、2個のスピン間の距離とそのスピン-スピン相互作用の強さを反映したものと理解できる。本結果は、ピーク高さを指標としてラジカル間距離を測定する新手法開発の可能性を示唆するものである。
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Research Products
(17 results)