2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハロロドプシンのクロライド輸送機構解明と3量体形成の意義
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19390009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加茂 直樹 Matsuyama University, 薬学部, 教授 (10001976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 敏文 松山大学, 薬学部, 准教授 (30241350)
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Keywords | exciton-coupling / Circular Dichroism / C1輸送 / dodecy1-β-D-maltoside / MALDI-TOF / 解離定数 / ホトサイクル / 微生物ロドプシン |
Research Abstract |
1)結晶からハロロドプシンHRは3量体を作っていることは推測されていたが、大腸菌で発現させ、0.1%から1%のDDM(dodecyl-β-D-maltoside)で可溶化状態でも3量体を形成していることを以下のように示した。1)可溶化したサンプルのCDを測定すると、exciton-couplingのスペクトルが得られる。2)ゲル濾過の溶離体積から見かけの分子量が得られた。ただし、吸着している界面活性剤の寄与を除く必要があり、これの推定を行い、3量体と仮定すると矛盾がないという結論を得た。3)グルタルアルデヒドで架橋をし、SDS-PAGEで解析した。反応時間に従って、3量体の分子量をもつ高分子量のものが生成した。MALDI-TOF massスペクトルで質量を測定した結果、3量体の生成が確認された。変異体の実験から、K65(Bヘリックス)とK148(Dヘリックス)間でグルタルアルデヒドによる架橋が行われることを示した。2)低C1濃度(Kd~22mM)で3量体は解離した。3)3量体を形成している条件では、熱的に安定であった。4)HRのホトサイクルを調べた。N中間体と0中間体の間に平衡があることを示した。N中間体とはC1結合型、0中間体はC1解離型である。この平衡のC1の解離定数は約1Mであった。T218変異体ではこの解離定数が0.1M程度までに低下する。すなわち、この変異体は野生型よりC1がHRから離れにくい。実際、T218変異体では、C1の放出速度が遅くなることを示した。5)無細胞タンパク系発現系でバクテリオロドプシンを効率よく(変性することなく)発現させることに成功した。
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