2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安齋 順一 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (40159520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 友典 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (50302170)
江川 祐哉 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (90400267)
佐藤 勝彦 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (80400266)
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Keywords | グルコース / ナノカプセル / インスリン / グルコース応答性 / 交互累積法 / センサー |
Research Abstract |
ナノカプセル型グルコースセンサーの開発を目的として、交互累積膜法により蛍光標識コンカナバリンAとグリコゲンの複合体をナノカプセル化することに成功した。カプセル材料として、ポリアミンおよびポリスルホン酸を用いると良好なナノカプセルとなることがわかった。芯物質として炭酸カルシウムを用いる方法の操作条件を最適化した結果、このナノカプセルの蛍光強度は溶液中にグルコースが存在すると減少した。すなわち、このナノカプセルがミリモルレベルのグルコースを検出するセンサーとして機能することを確認した。しかし、このセンサーは繰り返し使用特性に難があり、耐久性を向上させることが次年度の課題として残った。 次に、グルコースに応答してインスリンを放出するナノカプセルの開発を行い、ポリアミンおよびポリスルホン酸から調製したナノカプセルにインスリンを封入する方法を確立した。このカプセルからのインスリンの漏出特性を検討したところ、カプセルを作製するために用いたポリアミンの分子量の違いが漏出速度に顕著な影響を与えていることが明らかになった。分子量の小さいポリアミンは漏出速度を抑制する傾向があった。これらの結果は、カプセルの分子設計上非常に有用な指針となる。さらに、カプセルからのインスリン漏出速度をグルコースにより制御できるシステムの検討を行い、コンカナバリンAとグリコゲンをカプセル材料として用いることが有効であることを見出した。すなわち、コンカナバリンAとグリコゲンで作製したナノカプセルは10ミリモル程度のグルコースが存在するとインスリン漏出速度が顕著に増大することが判明した。これは、コンカナバリンAにグルコースが結合することに伴いグリコゲンとの結合が弱くなり、カプセルの膜構造が荒くなることに起因する。
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