2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安齋 順一 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (40159520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 勝彦 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (80400266)
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Keywords | インスリン / グルコース / ミクロカプセル / 糖応答性 / 高分子電解質 / 累積膜 / グルコースセンサー / フェニルボロン酸 |
Research Abstract |
インスリンを封入した高分子電解質ミクロカプセルの簡便で効果的な作製方法の検討と、作製したミクロカプセルからのインスリンの放出拳動の最適化を実施した、さらに、ミクロカプセルと類似したミクロ構造を有する薄膜の中にインスリシを共存きせて、pH変化に応答したインスリンの放出についても検討した。 フェニルボロン酸修飾ポリアミンとポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、またはアルギン酸などの高分子材料を用いて、高分子電解質ミクロカプセルを調製し、その内部にインスリンを効果的に封入する方法を詳細に検討した。また、150mM程度の塩化ナトリウムが共存する中性付近の条件下で、糖に応答したインスリン放出の制御を検討した。その結果、pH8以上では糖が共存するとミクロカプセルからのインスリンの放出速度が上昇することが確認されたが、pH7付近では糖の効果は小さく、さらに改善する必要のあることがわかった。 次に、インスリンをミクロカプセルと類似した構造を有する薄膜中に固定化して、pHに応答したインスリンの放出挙動について検討した。その結果、酸性条件においてはインスリンの放出はほとんど抑制され、pH5以上の中性条件において放出が促進されることが判明した。高分子電解質薄膜を用いたために、インスリンの放出速度は中性条件では急激に増大した。また、酸性溶液にタンパク質分解酵素(ペプシン)を共存させて37度Cに加温しても、インスリンはほとんど酵素分解を受けないことが明らかになった。これらの知見は、インスリン経口剤の開発への手ががりを与えるものである。
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