2007 Fiscal Year Annual Research Report
膜リン脂質代謝物リポキシンA4のアレルギー性の痒みにおける役割
Project/Area Number |
19390020
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
倉石 泰 University of Toyama, 事務局, 理事・副学長 (80111970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 嗣修 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50333498)
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Keywords | 痒み / 即時型アレルギー / 蚊アレルギー / リポキシンA4 / リポキシンA4受容体 / CD4陽性T細胞 / 5-リポキシゲナーゼ |
Research Abstract |
皮膚の即時型アレルギーの痒みにおけるリポキシンA4(5-リポキシゲナーゼ代謝物の一つ)の関与と役割を調べた。感作マウスに蚊唾液腺抽出物を皮内注射すると,即時性の痒み様反応(掻き動作)を惹起し,この掻き動作をリポキシンA4受容体拮抗薬N-t-butoxycarbonyl-Met-Leu-Pheが用量依存的に抑制した。感作マウスへの蚊唾液腺抽出物の皮内注射により注射局所の皮膚内のリポキシンA4濃度が増加し,この増加が5-リポキシゲナーゼ阻害剤によって抑制された。以上の結果から,即時型の蚊アレルギーの痒みにリポキシンA4が関与していることが示唆される。リポキシンA4の皮内注射は,健常マウスに掻き動作を惹起しなかつたが,感作マウスでは掻き動作を惹起した。リポキシンA4の標的の1つにT細胞があることから,感作マウスと健常マウスの皮膚で違いを調べたところ,リポキシンA4受容体を発現したCD4陽性T細胞が感作マウスで増加していた。CD8陽性T細胞はほとんど観察されなかった。CD4陽性T細胞の数の増加に伴い,リポキシンA4受容体の皮膚内発現が増加した。また,感作マウスの皮膚から単離したCD4陽性T細胞にリポキシンA4受容体が発現していた。このCD4陽性T細胞を健常マウスに養子移入したところ,リポキシンA4注射により掻き動作が惹起された。この反応は,siRNAを用いてリポキシンA4受容体を予めノックダウンしたCD4陽性T細胞の養子移入では認められなかった。本研究の結果から,皮膚の即時型アレルギーの痒みにリポキシンA4が関与することと,リポキシンA4のCD4陽性T細胞への作用により痒みが発生・増強されることが示唆される。
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