2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜リン脂質代謝物リポキシンA4のアレルギー性の痒みにおける役割
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19390020
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
倉石 泰 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (80111970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 嗣修 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (50333498)
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Keywords | 痒み / 即時型アレルギー / 蚊アレルギー / リポキシンA4 / リポキシンA4受容体 / CD4陽性T細胞 / セリンプロテアーゼ |
Research Abstract |
蚊アレルギー(皮膚の即時型アレルギー)のマウスモデルを用い,その痒みへのリポキシンA4 (LXA4)の関与を明らかにした。また,感作マウス皮膚では,CD4陽性T細胞が増加し,LXA4受容体(LXR)の発現も認められたことから,LXA4の作用点の一つとしてCD4陽性T細胞を同定した。本年度はさらに,LXA4の産生細胞の同定とLXA4による痒みの発生機序の解明を試みた。蚊アレルギーモデルマウスは,蚊唾液腺抽出物を抗原として繰り返し投与することにより作製した。皮膚より単離初代培養したCD4陽性T細胞への抗原刺激では,LXA4産生は認められなかった。CD4陽性T細胞の活性化には,樹状細胞の関与が報告されている。皮膚より単離した樹状細胞への抗原刺激ではLXA4産生は認められないが,樹状細胞とCD4陽性T細胞との共培養によりその産生が認められた。この結果は,LXA4産生は,樹状細胞とCD4陽性T細胞相互作用が必要であることを明らかにした。次に,LXA4による痒みの発生機序に関して検討した。LXRは,一次感覚神経での発現はほとんど認められなかったのでLXA4の神経へ直接作用によって痒みが起こる可能性は低い。LXRの皮膚内分布は解明できていないが,少なくともCD4陽性T細胞にはLXRが発現していたので,LXA4がCD4陽性T細胞にオートクリンあるいはパラクリン的に作用すると考えられる。LXA4の皮内注射によりCD4陽性T細胞由来と推定されるセリンプロテアーゼが遊離し,プロテアーゼ活性化受容体(PAR)-2に作用することを明らかにした。更に,一次感覚神経の特徴として,蚊アレルギー及びPAR-2の活性化によって興奮する一次感覚神経とヒスタミンが作用する一次感覚神経が異なる可能性とTRPV1受容体の発現神経がその伝達に関与することを見出した。
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