2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム創薬をめざしたMAPキナーゼシグナルの制御機構の解明
Project/Area Number |
19390024
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
杉浦 麗子 Kinki University, 薬学部, 教授 (90294206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 綾子 近畿大学, 薬学部, 助教 (00388498)
掛樋 一晃 近畿大学, 薬学部, 教授 (30101405)
村岡 修 近畿大学, 薬学部, 教授 (20142599)
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Keywords | MAPキナーゼ / 細胞内シグナル伝達 / ゲノム創薬 / インヒビター / モデル生物 / リアルタイムモニタリング |
Research Abstract |
本研究課題は、独自の遺伝薬理学的スクリーニングを駆使することにより、ヒトの癌化に重要な役割を果たすMAPキナーゼシグナル伝達経路の制御因子、ならびにMAPキナーゼインヒビターの同定と、それらの因子がMAPKを制御するメカニズムを解明することで、抗がん薬を始めとした新規分子標的治療薬の創製の基盤となる知見を得ることを目標としている。 本年度の成果として、1)新規MAPキナーゼ制御因子として細胞表面タンパク質Ecm33の同定と、新しいMAPキナーゼシグナルのネガティブフィードバック制御メカニズムの発見、2)MAPキナーゼのin vivo real-time monitoringシステムの確立、3)新規MAPキナーゼ阻害候補化合物の同定とその標的分子の解明があげられる。1)2)の成果は欧文一流誌であるMolecular Biology of the Cellに掲載された。1)の成果はMAPキナーゼの活性を生体内でモニタリングすることを可能にした画期的なシステムであり、MAPキナーゼが外界からの刺激に応答して活性化するメカニズムを明らかにすることに貢献するのみならず、各種化合物のMAPキナーゼ活性阻害効果をハイスループットに解析する上でも威力を発揮すると考えられる。さらに、2)においては、新規MAPキナーゼ阻害活性を有する化合物の発見とその作用機序の解明という快挙をなしとげた。画期的なこととして、我々の発見した化合物は細胞毒性が認められず、しかも既存の抗がん薬よりも強い抗腫瘍活性を示す。これらの成果は副作用のない新しいメカニズムの新規抗がん薬の創製の向けての第一歩であり、生命現象の解明のみならず、ゲノム創薬や医療におけるインパクトも極めて高い意義を持つと考えられる。このように、本年度の研究は予想以上に進展し、当初の目的を達成することができた。
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