2008 Fiscal Year Annual Research Report
活性化ミクログリアの神経保護作用誘導を活用するアルツハイマー病新治療薬の開発
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19390031
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川原 浩一 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (10347015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 誠 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (50207792)
國安 明彦 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (90241348)
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Keywords | ミクログリア / サブタイプ / アルツハイマー病 / 抗炎症性サイトカイン / レチノイド化合物 / モルヒネアナローグ / 特異的抗体 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)治療の創薬において、現行の対症療法(ドネペジル)に代わる根本的治療法の開発研究が国内外で精力的に取り組まれているが、未だに有望なものはない。このような現状から新しい方法論の開発・提案が待たれている。我々は、ADの新しい治療方策として生体に備わった抗炎症能力を誘導・賦活化すること、特に抗炎症性の神経保護型ミクログリア(2型MG)を積極的に活用する戦略と、これを実現する薬物シーズの開発を行った。 1.ラット脳から単離した2種のMG初代培養系でβアミロイド(Aβ)のクリアランス効果を調べると,抗炎症性サイトカインIL-4(IL-13でも)で処理したオリゴマー状Aβ(o-Aβ)の取り込み・分解は、2型MGに選択的に認められること,このときスカベンジャー受容体のCD36やAβ分解酵素であるネプリライシンやインスリン分解酵素酵素の発現が誘導されること,これらの全てを誘導するのはIL-4とIL-13であることを見出した(J.Immunol.,2008)。 2.1.のAβクリアランス能がin vivoでも作動するかを、本病態モデルの一つAPP23マウスを用い、脳内にサイトカインを微量注入して調べた結果、Aβ蓄積が有意に認められる4.5月齢では、蓄積Aβの減少とこれに伴う記憶学習能の有意な改善を認めることができた。 3.上記の知見をAD治療法にまで展開するには、上記クリアランス能を誘導できる薬物候補がほしい。この観点からいくつかの薬物を検討したところ、ある種のレチノイド類がCD36やネプリライシンの発現量を上昇する結果を得た。またIL-4分泌促進能をもつある種の薬物候補化合物(経口投与)を用いても、APP23マウスにおける脳内Aβ_<42>量が減少するとの予備知見も得た。これらの結果は,更なる展開に弾みがつくものとして期待される。
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