2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンによる性未成熟のインブリンティングとその機構
Project/Area Number |
19390034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 英之 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (40142351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 祐次 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (90253468)
石田 卓巳 九州大学, 薬学研究院, 助教 (10301342)
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Keywords | ダイオキシン / 後世代影響 / 性差 / 性行動障害 / 内分泌攪乱 / 性ステロイド合成酵素 / 性腺刺激ホルモン |
Research Abstract |
ダイオキシン類による後世代への影響は、曝露母体に対して毒性が惹起されないような極低用量で、その胎児に対して惹起される。その感受性の高さ、並びに影響の大きさから多くの研究者の注目を集めているが、その発症機構について不明な点が多い。申請者らの研究室では、2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)母体曝露時において、その胎児の血中黄体形成ホルモン(LH)量の減少、並びに精巣における性イルモン合成酵素の発現低下が惹起されることを見出している。本年度は、この知見をもとに、ラット胎児の性腺、および脳下垂体における性ホルモン合成系へのTCDD母体曝露時の影響の性差を観察した。TCDDを母体に曝露した場合、雌雄胎児脳下垂体のLHβ-subunit、および濾胞刺激ホルモン(FSH)β-subunitのmRNA量は、いずれも顕著に低下した。この低下は、胎児への黄体形成ホルモン様物質の直接投与により回復したが、この回復は雄の方が顕著であった。次に、ダイオキシンによる性ホルモン合成系の抑制が障害行動の発現に直結するか否か明らかにするため、TCDD曝露胎児へのLH様物質補充による性行動障害の改善効果を観察した。その結果、雌雄の胎児ともLHを補充することでTCDD曝露に伴う性行動不全の改善が観察された。また、これに関しても、雄の方が雌に比べ改善効果が顕著であった。以上の結果から、ダイオキシンの母体曝露による後世代への影響は、雄の方が雌に比べ顕著に発現することが示唆された。また、TCDDによる胎児LH/FSHの発現低下が性ホルモンの合成を攪乱し、その結果として後世代における性行動障害が惹起されることが実証された。
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Research Products
(3 results)