2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンによる性未成熟のインプリンティングとその機構
Project/Area Number |
19390034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 英之 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (40142351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 祐次 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (90253468)
石田 卓巳 九州大学, 薬学研究院, 助教 (10301342)
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Keywords | ダイオキシン / 後世代影響 / 下垂体 / 性腺刺激ホルモン / 視床下部 / メタボローム解析 / 胎児期特異性 |
Research Abstract |
2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-ρ-dioxin(TCDD)による後世代への影響は、胎児期における性腺刺激ホルモン量の減少、並びにそれに伴う生殖組織のステロイドホルモン合成量の低下によって引き起こされる。本年度は、TCDDによる性腺刺激ホルモン量低下の機構を明らかにするため、培養した脳下垂体を用いて解析を行った。ラット胎児および成獣より摘出した脳下垂体を培養し、黄体形成ホルモン(LH)の合成促進因子であるGnRH(ゴナドトロピン遊離促進ホルモン)、8-Br-cAMP(PKA活性化因子)、およびphorbolester(PKC活性化因子)を添加した。その結果、いずれの合成促進因子を添加した場合でもLHの誘導傾向が確認された。LH合成促進因子とTCDDを併用した場合、胎児脳下垂体において、LHの誘導は低下する傾向にあることが明らかとなった。この傾向は、成獣より摘出した脳下垂体では認められなかった。 次に、胎児期の脳における特異的な変動因子の探索を目的として、胎児および成獣の脳内メタボロームの変動をGC-MSで解析した。その結果、TCDD曝露胎児の視床下部において、TCDD非曝露群に比べ顕著なメタボローム変動が観察された。さらに、この変動する成分として、糖類を含むエネルギー産生に関与する因子が多く含まれることも示唆された。このような変動は、胎児脳下垂体では観察されなかった。また、成獣においては、視床下部と脳下垂体のいずれにおいても、TCDD曝露による顕著なメタボロームの変動は認められなかった。以上の結果から、TCDD曝露による胎児の後世代影響は、胎児期の脳に特異的な現象であり、視床下部におけるエネルギー代謝に関わるメタボロームの変動が関与している可能性が示された。
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Research Products
(1 results)