2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子胎仔期暴露による微細脳障害の誘発とそれに伴う脳神経疾患発症に関する研究
Project/Area Number |
19390036
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
武田 健 Tokyo University of Science, 薬学部, 教授 (80054013)
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Keywords | ナノ粒子 / ディーゼル排ガス / 胎仔期曝露 / 脳発達障害 / 自閉症 |
Research Abstract |
本研究では、妊娠期にナノサイズの粒子を含むディーゼル排ガス(DE)やナノマテリアルの曝露を受けたときの出生仔の脳の微細障害と脳神経機能の変化の有無を詳細に調べ、現在、急増しつつある子供の神経疾患発症との関連を明らかにすることを目的としている。今年度の検討として、ICR系妊娠マウスに妊娠2日目〜16日目まで1.0mgDEP/m^3のディーゼル排ガスを曝露し、出生雄性仔の6週齢時に行動薬理学的な試験評価を行った。DE曝露群で自発運動量の低下や、運動協調性の低下を示唆する結果が得られた。脳内モノアミン量の定量結果ではドーパミン(DA)の変動が認められ、DA神経の機能変化が自発運動量の変動をもたらしたことが推察された。組織学的観察からは、DE曝露群で小脳プルキンエ細胞にcaspase-3陽性細胞が多く認められ、小脳細胞死が起こり運動協調性障害を誘発していることが示唆された。また脳内モノアミン類の測定結果から、胎仔期DE曝露が脳内におけるストレス応答に影響を与えている可能性が示唆された。これらの影響はDE中の微粒子(DEP)が胎仔に移行したことにより中枢神経系に障害が生じた可能性が考えられることから、DEPを母体に皮下投与したときの出生仔への影響を同様に観察した。妊娠期にDEPを総量500μg投与した母獣からの雄性出生仔についての行動試験では、運動協調性に有意な変化は見られなかったが、DEP曝露群で自発運動量の低下が認められた。以上今年度の研究成果として、DEの胎仔期曝露が中枢神経系機能に種々の影響をおよぼすことを明らかにした。引き続き、遺伝子やタンパクレベルでの詳細な影響解析を行っている。
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Research Products
(8 results)