2007 Fiscal Year Annual Research Report
多面網羅的手法による薬物誘発性の遅延性臓器障害の機序解析と予測システム
Project/Area Number |
19390037
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山添 康 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (00112699)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉成 浩一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (60343399)
宮田 昌明 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (90239418)
|
Keywords | lithocholic acid / flutamide / 肝障害 / probucol / ME3738 / グルタチオン |
Research Abstract |
薬物誘発性の遅延性臓器障害の機序解析のため、lithocholic acid(LCA)と前立腺癌治療薬のflutamideをモデル化合物とした。C57BL/6雌性マウスに混餌でLCAを摂取させ、さらに核内受容体PXRのリガントであるpregnenolone 16α-carbonitrile(PCN)を併用して、経時的に毒性パラメーター、脂質レベルの変動とDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を実施した。LCA単独処置で脂質代謝関連遺伝子の顕著な遺伝子発現変動が認められ、肝臓、胆汁中での脂質、特にリン脂質の顕著な低下が認められた。PCN併用によりLCA誘発肝障害は軽減され、これらの遺伝子発現変動とリン脂質レベルの低下は抑制された。リン脂質の胆汁排泄を亢進するprobucolやコレステロールの胆汁排泄を亢進する、22β-methoxyolean-12-ene-3β,24(4β)-diol(ME3738)を併用することでLCA誘発肝障害は軽減され、胆汁中へのリン脂質やコレステロールの排泄亢進が、LCA誘発肝障害を防御する可能性が示された。一方flutamide誘発肝障害モデルをマウスで作製し、このモデルを用いて毒性誘発の機序をflutamide代謝の面から解析した。Flutamideの主代謝物である5-ainino-2-nitrobenzotrifluoride(FLU-1)のN-水酸化体(FLU-1 N-OH)がflutamide誘発肝障害に関与する可能性が細胞系の実験で示唆されていたが、マウス個体を用いた実験によってもFLU-1 N-OH生成活性を増加させることで肝障害を誘起させることに成功した。この反応はヒトあるいはマウスにおいてCYP3AとCYPIAで行われることが明らかとなった。さらに肝内グルタチオン(GSH)の低下が毒性発現に不可欠である事を明らかにした。FLU-1 N-OHはGSH存在下、FLU-1に還元されることを明らかにした。肝臓でのこの反応活性は高く、活性代謝物であるFLU-1 N-OHを解毒する主要代謝経路と考えられた。以上の結果より、FLU-1 N-OH生成系の活性が高く、肝内GSHレベルが低下しているヒトでflutamideは肝障害を起こし易いことが示唆された。
|
Research Products
(5 results)