Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60240305)
神田 善伸 自治医科大学, 附属さいたま医療センター, 教授 (30334379)
伊藤 晃成 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30323405)
樋坂 章博 東京大学, 医学部附属病院, 客員准教授 (80420206)
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Research Abstract |
抗がん剤による悪性腫瘍の治療においては,効果発現や副作用発現に大きな個人差があることが問題となっており,有効かつ安全な治療を行うために,患者個々人の遺伝子型に基づいた投与設計法の確立が急務とされている。本研究では,特に白血球系細胞に発現される抗がん剤排出ポンプの活性変動に着目しつつ,代表的な抗がん剤毒性となる骨髄毒性,特にその中でも重篤な発熱性好中球減少症の発症個人差を定量的に予測する方法論の確立を目指して検討を行っている。さらに,抗がん剤投与後の患者を対象とした臨床研究を行い,抗がん剤血液中濃度およびCD4^+Tリンパ球の減少の実測値を用いて,確立したトキシコダイナミクス,モデルの検証を予定している。 本年度は,マウスより単離したリンパ球系細胞を用い,抗がん剤治療に伴う発熱性好中球減少症の発症原因になると考えられる,CD4^+Tリンパ球の減少を定量的に予測するための,in vitroトキシコダイナミクス.モデルの構築,およびin vitroモデルのin vivoトキシコダイナミクス.モデルへの応用に関して検討を進めた。マウスより単離したCD4^+Tリンパ球に対する抗がん剤の感受性試験を行い,殺細胞効果と抗がん剤濃度.被爆時間を考慮した上で,caspaseの多段階活性化を考慮した生理学的モデルを利用することで,抗がん剤による殺細胞効果の速度論定数を算出し,実測値を数%の誤差範囲内で予測できるモデルの構築に成功した。また,マウスin vivoの抗がん剤暴露実験を行う準備として,各分化段階のTリンパ球の量を,RT-PCRを用いて定量的に測定する系を確立した。現在,マウスを用いたin vivo実験を行いつつ,トキシコダイナミクス.モデルの構築を行っている。今後は,モデルへの抗がん剤排出ポンプ活性変動の組み込みを行い,ヒトにおける個人差の予測につなげていく。
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