2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能改変タンパク質および核酸を基盤とした包括的抗腫瘍免疫治療システムの開発
Project/Area Number |
19390041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 喜信 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40273437)
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Keywords | 抗原デリバリー / DNAワクチン / 熱ショックタンパク質 / 抗原提示細胞 / CpGモチーフ |
Research Abstract |
癌の免疫療法において有効な抗腫瘍ワクチンを開発するためには、腫瘍抗原特異的なCD8陽性T細胞すなわち細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の効率的な誘導が可能な方法論の確立が最も重要な因子となる。しかしながら、ワクチンの形で生体に投与した抗原は、通常、抗原提示細胞(APC)上のMHCクラスII分子上に提示され、CTL誘導効率が低い。また、CTLを効率よく誘導・活性化させるためにはヘルパーT細胞の活性化も必要である。そこで本研究では、機能改変タンパク質およびDNAワクチンの両アプローチを基盤とした包括的抗腫瘍免疫治療システムの開発を試みる。本年度はheat shock protein 70 (Hsp70)を基盤とした機能改変タンパク質の遺伝子デリバリーによる癌免疫療法の可能性について評価を行なった。モデル抗原OVAのMHCクラスIエピトープおよびクラスIIエピトープを一分子中に融合したPepII-Hsp70-PepI発現プラスミドベクターを開発し、その有用性をマウス樹状細胞株DC2.4細胞に添加することで評価した。その結果、この発現ベクターを導入することで、PepI、PepIIともに提示されることが明らかとなった。そこで、マウスに免疫し、OVAを発現するEG7細胞を移植したところ、融合タンパク質発現プラスミドベクター投与群では高率で腫瘍生着が拒絶された。別途、CpG DNAの免疫アジュバントとしての有用性増大を目的に、DNAの高次構造化についても検討した。3本の短鎖DNAからY型DNAを構築し、マクロファージ様細胞株RAW264.7に添加したところ、通常のDNAと比較して有意に高いサイトカイン産生が得られた。このような核酸をアジュバントとしてワクチン投与の際に併用することで、より高い抗腫瘍効果が得られるものと期待する。
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Research Products
(21 results)