2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳の初期形態形成における遺伝子と環境要因の相互作用ならびにその障害による発生異常
Project/Area Number |
19390050
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩田 浩平 Kyoto University, 医学研究科, 名誉教授 (80109529)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 誠 京都大学, 医学研究科, 教授 (30232341)
山田 重人 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80432384)
|
Keywords | 脳 / 形態形成 / 遺伝子 / 環境要因 / 発生異常 |
Research Abstract |
Sonic hedgehog(Shh)は神経管の腹側化因子として重要であるが、Shhが胚の眼の原基に発現することから、Shhシグナルがの発生にも関与しているとえられた.本研究では、マウス胚の眼原基におけるShhと関連遺伝子の発現を詳細に解析し、以下のことを明らかにした. (1)Shhほ眼杯茎(optic stalk)におけるPax2の発現を誘発し、眼杯(optic cup)におけるPax6の発現を抑制する. (2)Shhは、Vax1, Vax2, Pax2の発現を活性化することによって眼杯の近位-遠位軸および背腹軸の形成に関与する。 (3)発生中の眼の網膜の背側部にBmD4が発現し、それがTbx5の発現を活性化することによって、腹側化因子であるShhと拮抗する. (4)Smoothened(Smo)は、Shhシグナルのへのにる分子でる.Smoのコンディショナルノクアウト(CKO)マウスを作製して解析したところ、Smo CKOマウス胚では、眼杯の腹側の陥入が障害されたが、背側部と眼杯茎は正常に分化した.Smo CKOマウス胚におけるPax, Vax, Bmp4の発現を調べたところ、眼胞におけるBmp4の発現が増強し、Vax1とVax2の発現が低下していた.さらに、やや遅れてPax2, Pax6の発現も抑制された.この結果から、Smo CKOマウスでは、眼杯全体でBmp4の発現が増強することによって腹側化因子であるShhシグナルが抑制され、その結果、Vax1, Vax2の活性化が起こらないために眼球の腹側の分化が障害されて、眼の発生異常が誘発されると考えられた.
|