2007 Fiscal Year Annual Research Report
良性リンパ管腫モデルを用いた脂肪細胞とリンパ管新生との連関性の検証
Project/Area Number |
19390053
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
江崎 太一 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (10128259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70339000)
清水 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90385394)
菊田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10367089)
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Keywords | アジュバント / リンパ管腫 / リンパ管新生 / 内皮細胞 / 中皮細胞 / 腹膜 / 脂肪細胞 / マウス |
Research Abstract |
本研究は、アジュバント(FIA)による良性リンパ管腫形成に伴う腹腔内での脂肪や物質の動態変化を追跡しながら脂肪細胞とリンパ管内皮との連関性を検証することを目的とする。まず本年度は; 1)リンパ管腫形成に伴う局所変化の形態的・機能的解析、 2)脂肪や物質の動態とリンパ管腫の選択的吸収機能の解析、を行った。 FIAの腹腔内投与後約1ヶ月で、腹膜の中皮細胞が次第に丈高となり、細胞間結合が緩むとともに本来腹腔面のみに存在していた微絨毛が細胞全体を覆っていた。これらの細胞は更に重層化し、細胞内に大量の脂肪小胞(FIA)を溜め込みながら、次第に融合して大小不規則ながら脂肪細胞様に変化した。腫瘍間質内には活性化した線維芽細胞はじめ、間葉系細胞の集積も多数認められた。FIA誘導後2〜3ヶ月後には蜂窩織状の典型的リンパ管腫となった。さらに、細胞同士が融合して、不規則に拡張したリンパ管様の構造や特有の腺管状構造も形成された。これらの構造物は、リンパ管のマーカーのうちpodoplaninでほとんど陽性であったが、LYVE-1やLA102では典型的リンパ管様の構造のみが陽性を示した。機能的には、リンパ管腫が形成されると、蛍光ビーズの様な粒子状異物に対する腹腔からの選択的吸収が著しく低下した。ところが、腫瘍部では蛍光デキストランはもちろん、粒子状異物もそれぞれのサイズに応じて盛んに摂取し蓄積された。さらにFIA誘導後、4ヶ月を経過した個体では初回に投与した色素が縦隔内リンパ節で観察され、一端は腫瘍内に蓄えられた異物が徐々にリンパ行性に排導された可能性を示唆した。 以上から、このリンパ管腫は、FIA処理のために反応性に増殖した腹膜中皮細胞や線維芽細胞などの間葉系細胞が一種の脂肪(含有)細胞へと化生したものであり、形態的にも機能的にも正常リンパ管より未熟な性状を持つ可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)