2009 Fiscal Year Annual Research Report
良性リンパ管腫モデルを用いた脂肪細胞とリンパ管新生との連関性の検証
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19390053
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
江崎 太一 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (10128259)
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Keywords | アジュバント / リンパ管腫 / リンパ管新生 / 内皮細胞 / 中皮細胞 / 腹膜 / 脂肪細胞 / マウス |
Research Abstract |
本研究は、アジュバント(FIA)による良性リンパ管腫形成に伴う腹腔内での脂肪や物質の動態変化を追跡しながら脂肪細胞とリンパ管内皮との連関性を検証することを目的とする。本年度はこれまで腫瘍形成の主体と考えられる腹膜中皮細胞の形質変化を説明するために、FIA投与後早期からの組織変化に注目した。FIAをEMblue色素で標識して腹腔内投与後、約1週間で腹膜中皮細胞や腸間膜内の脂肪細胞、間質細胞などでEPF(Early pregnancy factor、別名HSP-10)の強い発現が認められた。この頃から腹腔表面の所々で腹膜中皮細胞が微絨毛の伸長・増加とともに丈高となり、次第に細胞間結合も緩み極性を失ってきた。腫瘍内の脂肪蓄積細胞は胞体内に大小様々なFIA由来の脂肪滴を保有するとともに、互いに接近して融合状態にあるものまで観察された。また、脂肪をほとんど持たない細胞同士が巨大な細胞塊を形成し、やがて中央部から空洞化しながら、血管様の管または甲状腺濾胞様の胞体を形成するものが多数観察された。これら一連の組織変化とEPFの発現がほぼ並行することから、本腫瘍形成にEPFの何らかの関与が考えられた。そこで、マウスHSP10(アミノ酸102個)のうち、易抗原認識部として4ヶ所をペプチド合成し、それを抗原にラットを免疫して新たに抗マウスEPFモノクローナル抗体を作製した。EPFは本来妊娠初期に一過性に増加する分子であるが、種々の外来性の刺激によっても増加して腹腔内での腫瘍の形成に関与するといわれている。本研究モデルにおいてもその可能性が強く示唆された。今後は抗EPF抗体を用いて、FIA投与後に血清EPFを経時的に定量化するとともに、中皮細胞、リンパ管腫由来の内皮細胞(LEC)、脂肪細胞のそれぞれの培養中に、EPFを添加することで、細胞間で相互の形質転換の可能性を検証する予定である。
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Research Products
(13 results)