2008 Fiscal Year Annual Research Report
2光子顕微鏡法による光機能性分子の光活性化を用いたカルシム依存性細胞機能の解析
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19390056
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
根本 知己 National Institute for Physiological Sciences, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (50291084)
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Keywords | 生理学 / 高機能レーザー / 生体分子 / 発生・分化 / 生物物理 |
Research Abstract |
非線型光学過程の一種である多光子励起過程を用いた光学顕微鏡(2光子顕微鏡)は、近赤外域のフェムト秒レーザー(チタン・サファイアレーザー)を励起光源として用い、他の顕微鏡法では観察不可能な、インタクトな組織深部の微細構造とカルシウムなどの生体分子の同時観察を可能とする。本年度は、顕微鏡用の超短光パルス幅を計測するオートコリレーター式、及び対物後のパルス幅を最適化するための群速度補正装置を用いて、光機能性分子の光活性化と断層イメージングを同時に実施することが可能な光学的要件を網羅的に検索した。その結果、70フェムト秒というパルス幅をほぼ発振可能な全域において実現することに成功した。このような最適化された条件では侵襲性が最も低くなった。胚分化・左右軸決定に関する研究においては、2光子顕微鏡によってノードを構成する細胞内のカルシウム動態を安定的にin vivo可視化する系の確立を連携研究者と実行した。カルシウム振動現象の時空間分布が明らかになり、カルシウム振動はレイトバッド期から観察されるが、その時点では振動そのものに左右性は認められなかった。従って、それ以降にカルシウムシグナルの非対称性が獲得される可能性が新たに判明した。また、カルシウム依存性開口放出のモデル細胞である膵β細胞内のカルシウム濃度とインシュリン開口放出の単一事象の同時2光子断層イメージングを行った。その結果、readily-releasable poolの維持に必要な分子の同定に成功した。このシステムは新規蛍光タンパク質の光学的性質、新規in vivoイメージング法の開発にも有用であった。また新たに光学顕微鏡画像の解析プログラムを導入し、生体組織内の細胞運動や蛍光タグ化分子のより詳細な4D追跡を可能とした。その結果、生きたマウス免疫組織における免疫細胞の運動解析に成功した。
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