2008 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経におけるグルタミン酸の時空間ダイナミクス可視化解析
Project/Area Number |
19390063
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
廣瀬 謙造 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00292730)
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Keywords | グルタミン酸 / 中枢神経 / シナプス / バイオテクノロジー / 蛍光 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に開発したグルタミン酸蛍光プローブを細胞膜上にストレプトアビジン・ビオチンを介して固定することでラット海馬培養神経細胞や脳スライス標本においてシナプスからのグルタミン酸放出を有効に測定する系の構築を試みた。当初計画どおりの方法、すなわち、蛍光プローブをビオチン化し、ストレプトアビジン混和して複合体を形成させ、ビオチン化した神経組織に複合体を添加する方法によって可能であることが明らかとなった。また、この際の最適な固定化量を得るための条件を見い出すことができた。固定化されたグルタミン酸プローブの性能評価を行ったところ、固定化前に比べてグルタミン酸投与による蛍光強度変化のダイナミックレンジが約半分になることが明らかとなったが、シナプスからのグルタミン酸放出を観測するには十分であると考えられた。グルタミン酸プローブを固定化した海馬培養細胞において、FM4-64色素によって単一のシナプスを同定した上で、電気刺激を与えて活動電位を惹起し、グルタミン酸放出のイメージングを試みた。その結果、シナプスの存在する場所に一致して、グルタミン酸放出が放出されることが明らかとなった。この結果は、本研究で開発された方法によって単一シナプスレベルでグルタミン酸放出の動態が解析可能であること示す。また、単一シナプスからのグルタミン酸の放出は活動電位が発生しても必ずしも起こらず、確率的な放出が起こることが直接的に示された。以上、本研究によって初めてシナプスレベルでグルタミン酸放出をイメージングする方法が世界で始めて確立された。今後、この方法がシナプス伝達の制御機構を解明するうえで重要なリサーチツールとなると考えられる。
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Research Products
(2 results)