2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性脳疾患の画期的治療薬の開発基盤の構築―GIRKチャネルを標的にして
Project/Area Number |
19390066
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高濱 和夫 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (80150548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白崎 哲哉 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (30264047)
副田 二三夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (10336216)
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Keywords | GIRKチャネル / 難治性脳疾患 / 治療抵抗性うつ病 / パーキンソン病 / ドパミン / NMR / チペピジン / 強迫性症候群 |
Research Abstract |
チペピジンを始めとするGIRKチャネル阻害作用をもつ薬物の難治性脳疾患モデルに対する作用とそのメカニズムに関する研究を行い、以下の成績を得た。 1、GIRKチャネル阻害作用を持つチペピジンは、従来の抗パーキンソン病治療薬と異なり、オキソトレモリン誘発振戦およびハロペリドール誘発カタレプシー、カテコールアミン合成阻害剤AMPT誘発カタレプシーのすべてのモデルにおいてそれらの症状を用量依存的に抑制した。また、6-OHDAによる片側線条体破壊ラットにおいて、チペピジンは、ドパミン遊離作用をもつメタンフェタミンと同様に、破壊側と同側方向への旋回行動を誘発した。マイクロダイアリシス法において、チペピジンの腹腔内投与は線条体のドパミンレベルを増加させた。2、チペピジンは強迫性症候群の治療薬のスクリーニングに用いられるビー玉隠し行動を従来の治療薬に比べて最も強い活性で抑制した。3、チペピジンは従来の抗うつ薬と同様に扁桃核のc-Fos様タンパク質の発現レベルを増加させたが、従来の抗うつ薬と異なり、側坐核や腹側被蓋のレベルも増加させた。4、チペピジンのGIRKチャネル阻害作用に対する選択性をCOS細胞を用いて電気生理学的に検討した結果、チペピジンはTREKチャネルに対して高い活性を示さないことがわかった。5、NMR解析の結果、GIRK1細胞内ドメイン4量体とクロペラスチン1分子が1:1で相互作用しており、その部位はQ227、E300、c310の3残基であることが示唆された。また、この3残基と、その近傍の1302および3残基から離れた部位のQ311、D319の点変異体GIRK1を用いて電気生理学的に検討した結果、クロペラスチンは、GIRK1の細胞内、特にボアを形成しているE300、I302、C310、Q311と相互作用していることが示唆された。
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