2008 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt5a・Ror2受容体チロシンキナーゼによる細胞移動・細胞極性制御機構の解析
Project/Area Number |
19390076
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 康博 Kobe University, 大学院・医学研究科, 教授 (70229772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 満 神戸大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30379359)
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Keywords | Wnt5a / Ror2受容体チロシンキナーゼ / 細胞移動 / 細胞極性 / 細胞骨格再編成 / 浸潤突起 / MMP13 / Srcファミリーチロシンキナーゼ |
Research Abstract |
Ror2受容体チロシンキナーゼは、non-canonical Wntシグナルを司る代表的分子であるWnt5aの受容体として機能し、Wnt/c-Jun N-terminal kinase(JNK)経路を活性化し、極性を持った細胞移動を制御することを明らかにしてきた。本年度は、がんの浸潤におけるWnt5a/Ror2シグナルの役割を明らかにする目的で、浸潤能の高いヒト骨肉腫細胞株SaOS-2細胞、U2OS細胞を用いて、細胞生物学的分子生物学的解析を行った。まずこれらの細胞におけるWnt5a,Ror2の発現解析を行ったところ、これらの細胞は構成的にWnt5a,Ror2を高発現しており、その結果Wnt5a/Ror2シグナルが活性化し、浸潤突起形成が誘導され、in vitroでの細胞外基質(ECM)の分解を伴う浸潤能が亢進していることが示された。実際、これらの細胞においてWnt5aまたはRor2の発現をknockdownすると浸潤能が顕著に減弱した。次に、SaOS-2細胞においてRor2の発現をknockdownし、発現が変動する遺伝子群をマイクロアレイ解析により同定し検討を行ったところ、浸潤突起形成、ECM分解において重要な役割を担うmatrix metalloproteinase13(MMP13)遺伝子がWnt5a/Ror2シグナルにより誘導されることが明らかとなった。興味深いことに、Wnt5a/Ror2シグナルによるMMP13発現誘導には、Ror2のチロシンキナーゼ活性が必要なこと、およびSrcファミリーチロシンキナーゼの活性化が必要であることが明らかとなった。本研究により、骨肉腫細胞株では、Wnt5a/Ror2シグナルが構成的持続的に活性化されることにより、MMP13の発が誘導され、浸潤能が亢進していることが示された。
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Research Products
(6 results)