2008 Fiscal Year Annual Research Report
発生・再生現象におけるSUMO修飾機構と細胞核リモデリングの解析
Project/Area Number |
19390078
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 教授 (00217663)
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Keywords | 発生医学 / SUMO / クロマチン / 細胞核 |
Research Abstract |
1.SUMO結合モチーフをもつMCAF1の解析 ユビキチン様SUMOで修飾されたメチル化DNA結合タンパク質MBD1がMCAF1分子内のSUMO結合モチーフと相互作用することを報告したが、MCAF1はSp1に直接結合し、Sp1依存性のテロメラーゼ遺伝子発現を促進することを見出した。MCAF1は癌組織や未分化細胞で高発現しており、これらの細胞に共通したテロメラーゼ遺伝子の活性化機構のひとつであることを示唆した。 2.細胞周期におけるポリコームタンパク質群の解析 ポリコーム群(PcG)にはPRC1とPRC2の2つの複合体があり、発生分化に関わる遺伝子制御に働く。PRC2はピストンH3のリジン27(H3K27)をメチル化し、PRC1(SUMOリガーゼhPc2を含む)はメチル化H3K27を認識し転写抑制型のクロマチンを形成する。PRC1が結合したクロマチンが細胞周期のG1期に再構築され、次のS期への進行に必要であることを見出した。細胞がG1期に刺激を受けた場合、PcGの標的クロマチンが再編される可能性が示唆された。 3.HMGA2の上皮間葉転換に関する解析 HMGAタンパク質は、未分化細胞に高発現するが、分化細胞で発現が低下し、癌細胞で再活性化する。膵癌細胞において、HMGA2が上皮間葉転換(EMT)に関わることを見出した。膵癌細胞株において、HMGA2の選択的ノックダウンで、E-カドヘリン発現上昇を伴う高接着性の上皮様に変化した。HMGA2はE-カドヘリンの発現を抑制する転写因子SNAILのプロモーター活性を促進することが判明し、HMGA2が発生過程に重要なEMTに関わることが示唆された。 4.SUMO修飾が関わる核内構造の解析 核膜孔に存在するSUMOリガーゼRanBP2が、SUMO修飾と関連する核内構造、とくにPMLボディーやヘテロクロマチン等の形成に関わることを見出した。
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Research Products
(17 results)