2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞分化と脂質代謝におけるオートファジーの役割
Project/Area Number |
19390079
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
木南 英紀 Juntendo University, 医学部, 教授 (10035496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 淳二 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60232948)
古屋 徳彦 順天堂大学, 医学部, 助教 (50401188)
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Keywords | オートファジー / 脂肪細胞 / Lipid droplet / 細胞分化 / 脂質代謝 / Atg7 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
前年度に引き続き、オートファジーと脂質代謝および脂肪細胞分化の関係について、組織特異的オートファジー不能マウスおよび、オートファジー不能(Atg7^<-/->)マウスより採取した胚性線維芽細胞(MEF)を用いて検討した。 肝特異的オートファジー不能マウスでは、絶食した野生型マウスの肝臓で観察されるLipid droplet(LD)の蓄積が見られない。この知見は、前年度に報告した脂肪組織特異的オートファジー不能マウスで観察される白色脂肪組織の小型化およびトリアシルグリセロール(TAG)レベルの低下と密接に関わっていることが予想されるので、誘導性の肝特異的オートファジー不能マウスを用いて詳細な検討を行った。オートファジー不能になった直後および7日後の肝臓を比較したところ、オートファジー不能になった直後の肝臓では、絶食により野生型と同様のLDの蓄積が観察されたのに対して、7日後の肝臓では有意に減少していた。オートファジー不能化7日後の肝臓は、肥大化や肝障害を発症する時期であり、オートファジーの低下およびそれに続く要因によって、肝におけるLD形成、TAG蓄積のプロセスの抑制または遅延が起こっていると考えられる。その機構の詳細については現在解析中である。 一方、MEFを脂肪細胞へと分化させたところ、オートファジー不能MEFでは脂肪細胞へと分化した細胞が少なく、TAGレベルおよび脂肪細胞特異的タンパク質の発現が低かった。また分化の初期に高くその後減弱するC/EBPα、βおよびPref-1の発現が亢進していることを見出し、これらの発現上昇に関与が予測される複数の細胞内シグナル経路に関して検討を行ったが、まだその同定には至っておらず、解析を継続している。 以上の結果より、オートファジーは肝臓における脂質の蓄積機構および脂肪細胞の分化に密接に関わっていることが示唆された。
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Research Products
(15 results)