2008 Fiscal Year Annual Research Report
筋変性疾患におけるトランスポータ・チャネルの病態的意義の解明と治療への応用
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19390080
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
若林 繁夫 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環分子生理部, 部長 (70158583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 裕子 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 室長 (80171908)
西谷 友重 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 室長 (50393244)
久光 隆 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 室員 (50327946)
古林 創史 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 流動研究員 (50511531)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 生体分子 / 蛋白質 / トランスレーショナルリサーチ / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
平成20年度はNa^+/H^+交換輸送体NHE1の病態的役割に関する研究を行った。そのためにまず、阻害ドメインを欠失させた活性化型NHE1を心臓に高発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作成した。NHE1Tgマウスの心臓は20日齢から有意な心筋細胞肥大を示し、40日齢以降では筋細胞の壊死・脱落それに伴う繊維化など拡張型心筋症様の形態を呈した。心エコーではfractional shortningが減少し収縮力の低下が認められた。このマウスのほとんどは200日までに心不全で死亡した。また、心肥大・心不全発症はNHE1阻害剤であるカリポライドの投与によって抑制された。単離心筋細胞を用いた実験から、NHE1活性化によるpH_i上昇(重炭酸がない時)、細胞内Na^+濃度上昇および弛緩・収縮期の細胞内Ca^<2+>濃度増加が起こり、後者はCaMKIIによるPLBリン酸化に伴うSRのCa^<2+>取り込みの増加が関与することがわかった。また、Ca^<2+>依存性心肥大シグナル分子、カルシニュリンおよびCaMKIIの著明な活性化が認められ、その下流シグナルであるNFATcの部分的な核内移行およびHDAC4の核外移行がカリポライド依存的に起こることが判明した。結論として、NHE1の活性化は細胞内Na^+濃度上昇に伴って心肥大・心不全を起こすCa^<2+>シグナルを惹起させるのに充分であることがわかった。NHE1の活性化はi)Na^+上昇とそれに伴うCa^<2+>シグナルの増大、ii)pH_i上昇による細胞増殖系シグナルの活性化を起こすと考えられていたが、特に生理的な環境下ではpH_i上昇はほとんど起こらず、前者のメカニズムが重要であることが判明した点は意義深い。
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[Journal Article]2009
Author(s)
中村(西谷)友重, 他
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Journal Title
創薬研究者必見!-最新トランスポーター研究2009“遺伝子医学MOOK 12"(株式会社メディカル ドゥ)
Pages: 255-261
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