2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋変性疾患におけるトランスポータ・チャネルの病態的意義の解明と治療への応用
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19390080
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
若林 繁夫 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環分子生理部, 部長 (70158583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 裕子 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室長 (80171908)
西谷 友重 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室長 (50393244)
久光 隆 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室員 (50327946)
古林 創史 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 流動研究員 (50511531)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 生体分子 / 蛋白質 / トランスレーショナルリサーチ / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
平成21年度は筋ジストロフィーにおけるCa^<2+>透過チャネルTRPV2の創薬標的としての有効性を確定するための研究を行った。これまでの研究から、筋ジスなどの筋変性疾患に共通する病態的特徴である持続的な細胞内Ca^<2+>濃度上昇が浮上し、それを起こす有力な候補蛋白質TRPV2(Ca^<2+>透過性カチオンチャネル,transient receptor potential V family, member 2)を同定してきた。TRPV2は筋ジス骨格筋では細胞膜に濃縮して存在し活性化されているので、阻害すれば病態は改善することが期待されるが、特異的な阻害剤は同定されていない。そこで、TRPV2のチャネル活性を持たない変異体をドミナントネガィブとして用いて内在性のTRPV2活性を抑えることにした。変異体を骨格筋に高発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作成し、筋ジスマウスmdxマウスと交配させると、期待通りmdxマウスの内在性TRPV2活性は著しく抑制された。興味深いことに、この交配によってmdxの筋ジスの病態は大幅に改善された:血中CK濃度、40-60%;グリップテスト、50-70%;筋繊維径変数および中心核数、30-40%;アポトーシス、80%;浸潤、90%;EBD取り込み80%。以上の結果は筋ジスにおける筋変性にTRPV2による持続的細胞内Ca^<2+>濃度上昇が大きく関与すること、それを阻害することによって病態改善が起こることが明らかになった。すなわち、TRPV2が優れた創薬標的になり得ることが確定した。
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Research Products
(10 results)