2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答キナーゼMTK1 による細胞増殖、炎症制御機構と疾患におけるその異常
Project/Area Number |
19390081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武川 睦寛 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (30322332)
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Keywords | シグナル伝達 / ストレス応答 |
Research Abstract |
ストレス応答MAPK(p38/JNK)情報伝遠経路は、様々なストレス刺激(DNA損傷、酸化等)によって活性化され、細胞周期停止やアポトーシス、炎症・免疫応答の制御に中心的な役割を果たしている。この経路の制御異常が癌や自己免疫疾患の発症に深く関与する証拠が蓄積されている。しかしながらストレス応答経路の活性制御機構や、疾患における制御異常の詳細に関しては不明な点が多く残されており、その解明は癌の病因、病態の理解、および新規治療法開発の観点からも必要不可欠である。申請者はこの研究命題に取り組み、これまでにストレス応答MAPK経路の主硬なヒトMAPKKKであるMTK1をクローニングし、さらに、MTK1の制御ドメインに結合して、活性化因子として機能する3つのGADD45関連分子を同定してきた。更に、GADD45分子がストレス刺激やサイトカインによって発現誘導され?MTK1を介してp38/JNK 経路を活性化することを明らかにしてきた。本研究に於いては、MTK1の活性制御機構を分子レベルで明らかにすべく解析を行った。その結果我々は、MTK1の新規結合分子として足場蛋白質 RACK1 を同定し、RACK1 が MTK1 を 2 量体化してその活性化を促進する分子(MTK1活性化のエンハンサー)である事を見出した。更に興味深い事に、低酸素などの特定の刺激によって「ストレス顆粒」と呼ばれる細胞質内構造体が形成されると、 RACK1 が MTK1 から解離して顆粒内に取り込まれ、その機能が阻害されて MTK1 の活性化が強く抑制される事を見出した。またその結果、下流のp38の活性化も抑制されて、DNA損傷によるアポトーシスが阻害される事を明らかにした。更に、この様なストレス顆粒形成による細胞死抑制が、固形癌を治療する上で問題となっている「固形腫瘍内部低酸素環境による癌細胞の抗癌剤抵抗性」に関与する事を示した。
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Research Products
(8 results)